なぜここまでグローバルリーダーの育成に投資するのか。それは、筆者自身が身をもってその大切さに気づいたからだ。1962年、19歳の頃単身渡英し、ケンブリッジ大学に進学。卒業後に英国で創業した人材紹介会社ジェイエイシーリクルートメントは、現在世界11カ国で事業展開するほど成長を遂げた。
この連載は、今後日本や世界を牽引する若者に向けて必要なことを、筆者の半生を振り返りながら綴る奮闘記だ。
学校を設立する夢が敗れてからおよそ25年後、長い年月が流れましたが、ジェイエイシーリクルートメントの業績が回復し東証一部上場企業へと成長し、それをきっかけに破れた夢を再起動させるための活動を開始しました。財団を立ち上げるために、具体的に行動を始めたのです。
財団の目的は、日本の若者に英国のパブリックスクールでの2年間の学習過程を経て、オックスフォード大学やケンブリッジ大学などの世界最高峰の大学を目指すための留学を支援し、真のグローバルリーダーを育成するというものです。
その一人当たりの費用を試算したところ、パブリックスクールの2年間と大学の3年間の計5年分の授業料、寮費などの生活費、渡航費などに加え現地の保護者への費用などの合計はおよそ4000万円。それを「返済不要の奨学金」として支援をすることを決めました。
私が調べた限り返済不要の奨学金としては国内最高額で、海外でもこれほどの支援をしている奨学制度を聞いたことはなく、世界最高額かもしれません。それだけ私が、日本の若者をグローバルリーダーへの育成支援に真剣であることを理解いただけると思います。
高校を中退してでも、16歳で留学を勧める理由
対象は16歳の日本在住の高校生です。なぜ16歳か。
まず英国の教育制度では16歳で義務教育が終わり、さらに大学を受験する生徒は「6thフォーム」という教育課程に進級して、2年間「GCE-Aレベル」という大学受験の資格取得にむけ準備をします。財団の留学生も16歳からパブリックスクールに編入し、その準備をすることになります。また、英語の学習においても吸収力が早い若い頃から始めた方が良いのは紛れもない事実であること。
一方で、義務教育中の中学生ではまだ日本人としてのアイデンティティが確立されているとは言い難い年齢でもあり、高校一年ではありますが16歳がぎりぎりの年齢であると判断しました。
私は19歳で英国に留学し、通常2年の教育過程を経て卒業するパブリックスクールを1年で卒業しましたが、19歳でも留学には遅すぎたと思っています。英語ができなかった私が、英語を母語とする他の生徒よりも1年早く卒業したことは、どれだけの努力をしたか想像いただけるかと思います。
留学を希望する生徒の保護者の大多数は中学卒業後もしくは高校卒業後のいわゆる「節目」に留学させたいと希望する方がほとんどです。しかし、日本と英国の教育システムは全く異なることから、16歳という年齢が譲れない条件になります。
また、日本の高校を卒業しても、得られるのは日本国内でしか通用しない高校卒業証明です。しかし、英国の「6thフォーム」の教育過程を経て受験する「GCE-Aレベル」を始めとするいくつかの資格試験は「ほぼ世界中の大学を受けられる世界共通資格」となります。こちらの方が、大学進学の可能性が世界中に広がるのです。