グローバルリーダーの育成法

2015年、東証一部に上場

2016年、筆者は「Tazaki財団」を設立した。同財団では16歳の高校生を対象に5年間の英国留学にかかる費用(約4000万)を全額支援している。返済不要の奨学金として国内最高額。

なぜここまでグローバルリーダーの育成に投資するのか。それは、筆者自身が身をもってその大切さに気づいたからだ。1962年、19歳の頃単身渡英し、ケンブリッジ大学に進学。卒業後に英国で創業した人材紹介会社ジェイエイシーリクルートメントは、現在世界11カ国で事業展開するほど成長を遂げた。

この連載は、今後日本や世界を牽引する若者に向けて必要なことを、筆者の半生を振り返りながら綴る奮闘記だ


日本に英国式の学校を設立しグローバルリーダーの育成をするという長年の夢が破れて以来、ジェイエイシーリクルートメントの経営に専念し、2006年にJASDAQに上場。2007年時点でジェイエイシーリクルートメントは世界7カ国に展開しグローバル企業として順調に成長を続けていました。

しかし2008年、リーマンショックが発生。米国の住宅価格上昇に制定されたサブプライムローンを発端に、多分野にわたる資産価格の暴落が起こり投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻。日本経済も大打撃を受け、ジェイエイシーリクルートメントもその影響を大きく受けたのです。

人材紹介事業は企業から求人依頼を受け、求人の内容に合致するスキルや経験を持つ人材を紹介する成功報酬型のビジネスです。リーマンショック発生後は多くの企業が採用をストップしたことで、当社のコンサルタントたちが紹介する人材が採用されず、会社は非常に厳しい状態に陥りました。

9月にリーマンショックが発生後、2008年第4四半期から会社は毎月大赤字の状態。手持ちのキャッシュは急速に目減りし、社員の雇用を維持する体力が一気に奪われていきました。業績が下がるというような生易しいものではなく、船底に大きな穴が開き急速に浸水し会社が沈んでいくような状況で、2008年末にはあと半年間赤字の状態が続けば会社が倒産する可能性まで出てきました。

迫られる苦渋の決断 希望退職者の募集


2008年時点、当社の社員数は約800名。この規模の社員の雇用を維持することが困難になり、会社を存続させるために苦渋の選択を迫られ、希望退職者を募集することを決断。2009年に全社員を対象に300名の希望退職者を募集すると同時に、2009年4月入社予定の新卒採用内定者から内定辞退を募集。その結果、希望退職者約300名と内定辞退者約100名の計400名に会社を去っていただくことになり、2009年には売上だけでなく社員数もおよそ半減となったのです。

人材紹介事業を生業とする私たちには技術や製品はなく、事業の全ては人で成り立っていると言っても過言ではありません。人員削減は会社の命を削るような非常に苦しい決断で、去っていく社員たちを守ることができなかった自責の念で一杯でした。

会社を存続させるために多くの犠牲を伴ったからには、何としてでも会社を立て直さなければなりません。役員たちで徹底的に今後会社が向かうべき方向性について議論し、「生産性の向上」「利益率の向上」「人材紹介コンサルタントのプロフェッショナル化」の方針を打ち立てたのです。

そして、もし再びリーマンショックのような嵐が来ても、それに耐え社員の雇用を最低1年半以上は維持できるよう盤石な経営基盤を整えることで、永続的に成長できる会社を目指すことを、私と妻で会長(当時社長)の田崎ひろみ、そして役員全員と誓ったのです。

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい