ここで、誰もが認識していながら目を背けている存在がある。テスラだ。中国BEVメーカーの1月販売実績がこれほど低迷したのは、テスラが市場シェアを猛然と飲み込んでいるからなのだろうか。
この見立ては、NIOにだけ生じうるものだ。私が以前Forbes.comの記事で指摘したように、BAICやBYD、その他の中国メーカーは、テスラと比べてかなりの低価格で販売している。中国産「テスラModel 3」の販売価格は、補助金の交付後であっても30万元(約477万円)に上る。一方、最もよく売れている「BJEVスポーツ」の場合は、補助金交付後の価格はModel 3の半分以下だ。
つまり、はじめは現地調達率わずか30%という「地元産」車両を製造する中国工場の稼働開始に基づいた株価をイーロン・マスクが宣伝したのは、考えられないほどタイミングが悪かったわけだ。
2020年における今後のテスラ株価を決定づけるのは、販売台数であって生産台数ではない。マスクが、2020年の年間販売台数予測50万台について「まったく問題ない」と語る理由が、私にはさっぱりわからない。Forbes.comですでに触れたが、2019年12月にオランダで驚異的な業績をあげなければ、同社経営陣が提示していた36万台から40万台という、2019年納入ガイダンスの下限は達成できなかったのだ。
中国の電気自動車市場のクラッシュにより、テスラが2020年に50万台を販売できる確率がゼロだということは、私の目には、以前にも増して明らかだ。