コービー・ブライアント、子どもの健康にも尽力 スポーツの効用広く訴え

コービー・ブライアント(Photo by Stacy Revere/Getty Images)


米国では現在、中程度以上の運動を週3回、20分以上している子どもが全体の3分の1足らずにとどまっている。米国民の健康にとってゆゆしき事態だ。なぜなら、運動不足は肥満や糖尿病、心疾患、がんといった多くの慢性病のリスクを著しく高める恐れがあるからだ。精神衛生にも悪影響を与えかねない。また筆者らの研究によれば、この問題による生産性の低下や医療費によるコストは全米で数百億ドルに達しており、今後もその水準で推移するとみられる。

ブライアントは、子どもの運動離れが差し迫った問題であることを認識していた。スポーツをする子どもを増やし、彼らが大人になってからも運動を続けていくことの重要性も理解していた。

もちろん、彼は自身の経験から、スポーツをすれば多くのメリットがあることも熟知していた。その一方で、多くの子どもがスポーツをしなくなる理由や、筆者が以前にフォーブスに書いた通り、多くの子どもがだいたい11歳ごろにスポーツをしなくなるといった事情にも通じていた。

プロジェクト・プレーがソーシャルメディアで「#DontRetireKid」というキャンペーンを始めたのも、こうした、子どもたちのスポーツからの「早期引退」状況をなんとか変えたいという思いからだった。ブライアントは自身のツイッターへの投稿によって、その立ち上げにも力を貸してくれた。

ブライアントは米スポーツ専門テレビ局ESPNの番組で、スポーツによる健康上のメリットや、子どもがスポーツをするうえで親や多くの既存の制度が障害になっている点について詳しく話したこともある。それを聴けば、彼がたんにこうした問題に熱心なだけでなく、それを説得力のある仕方で説明できることにも気づくだろう。そのうえ、彼はアスリートとしても超一流だから、その話にはなおさら真に迫っている。

プロジェクト・プレーの会合で会った時、ブライアントは近い将来に、子どもを支援するためにやりたいことについていろいろ教えてくれた。彼はすでにバスケットボールのユースキャンプを運営していたが、さらに本の執筆やマルチメディアの活動によっても、子どもたちと関わっていきたいということだった。

ブライアントはコートの中でも何でもこなす万能選手だったが、コート外に出ても明らかに万能だった。わたしたちは今後、彼が語ってくれた関心事や取り組みについて話し合う予定だった。悲しいことに、それは二度とできなくなってしまった。


Photo by Nick Laham/Getty Images

ブライアントはこの先、いくつもの「チャンピオン」として記憶されることになるだろう。NBAのチャンピオン。オリンピックのチャンピオン。そして、子どもたちとその健康に尽力したチャンピオンとして。

編集=江戸伸禎

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