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英語では、隣人と見栄の張り合いをすることを「keeping up with the Joneses(ジョーンズ家に後れを取らないようにする)」と言う。このフレーズは1913年に掲載が始まった新聞漫画のタイトルが由来となっている。1913年と言えば、フォードがライン生産方式を導入し、たばこのパッケージにラクダの「ジョー・キャメル」が初めて登場した年だ。

しかし、漫画ではT型フォードを買う余裕のある隣人一家だった「ジョーンズ家」は、ソーシャルメディアが普及した今、豪邸やプライベートジェットを所有するセレブに取って代わられた。交流サイト(SNS)上ではさらに、知り合いが高級品や豪華旅行の写真をこれ見よがしに投稿している。

結果として、古くからある見栄の張り合いという人間の性質はソーシャルメディアによって全く新しい次元に到達し、ほぼ誰もが影響を受けるようになってしまった。人々はエキゾチックな場所へ旅をし、イベントづくしの生活を見せびらかし、自分が誰よりも幸せな人生を送っていることをインスタグラムで証明しようとしている。

こうした見栄の張り合いは、出費の増加だけでなく、メンタルヘルス悪化にもつながってしまう。

・SNSでの嫉妬とうつの関連性

ソーシャルメディアで他人の生活に嫉妬すると、心の健康を大きく害する可能性がある。フェイスブックでの嫉妬はうつと直結することを示した研究結果も出ている。

インスタグラムはメンタルヘルスへの害がさらに大きいことも分かっている。成功したビジネスパーソンや非の打ち所がない体形のフィットネスコーチのアカウントを継続的に見ることで、今の自分では不十分だという感覚が生まれる。

他人は自分の生活の中での最高の部分を見せびらかしているに過ぎないのだが、それを心に留めておくのは難しい。また、人は誰もが問題や気分の上下、ネガティブな思考を抱えることがあるという事実を見失うこともあるだろう。

・メンタルヘルスは借金にも関連

嫉妬心は不健全な行為につながる。人は自尊心やソーシャルメディア上のステータスを一時的に高めたいがために、不必要な買い物をする衝動に駆られることがある。

買い物によるストレス発散はいわば流行の病となり、多くの人が自分はあふれる物の中に埋もれているように感じている。米国では世帯人数が着実に減っているにもかかわらず、住宅の平均的な大きさは過去50年間で3倍になっている。

さらに、広い自宅があるのに物が入りきらないためトランクルームを利用する必要がある米国人の割合は10人に1人に上る。また、マイホーム所有者の25%が、車庫に多くの荷物を置いているために2台入るはずのスペースに1台しか止められない状況になっている。

実際のところ、ソーシャルメディア上で見せているような贅沢な生活をする余裕がある人は少ない。多くの人がその経済的負担を、膨大なクレジットカードの請求額という形で味わっている。また経済的な重圧により、深刻な心理的影響が生まれる。住宅ローン以外の借金がある人は、不安やうつのリスクが3倍になることが、研究から示されている。

編集=遠藤宗生

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