繁華街の銅鑼湾(コーズウェイベイ)では昨年、予定されていたシャネルのファッションショーの開催が延期され、LVMH傘下のスーツケースブランド、リモワも開店を見合わせた。
同地区は特に大きな影響を受けている。プラダは昨年8月、2020年6月にリース契約の期限が切れた時点で、ラッセルストリート店の営業を終了すると発表。ルイ・ヴィトンも今年に入り、ショッピングモール「タイムズスクエア(時代広場)」内の店舗を閉鎖する方針を明らかにした。
ルイ・ヴィトンは香港に、ほかに7店舗を開いており、それらの営業は継続するという。また、2021年に予定されている香港国際空港内の新店舗オープンの計画にも、変更はないとのことだ。だが、それでもコーズウェイベイ店の閉鎖は、同ブランドを率いるLVMHにとって痛手となるだろう。2018年の売上高468億ユーロ(約5兆7300億円)のうち、約6%を占めたのは同店の売り上げだ。
香港ではカルティエを傘下に持つリシュモン、スウォッチグループ、ティファニー、モンクレール、グッチ、サルヴァバトーレフェラガモ、ラルフローレンなど、その他のブランドも同様に売上高を減らしている。特に影響の大きかったグッチやフェラガモは、45%近い減収を記録した。
一方、エルメスは香港での減収を明らかにしているものの、中国本土では増収になっているとして、現状を乗り切ることは可能との見方だ。LVMHもまた、同様の姿勢を維持する。だが、ロイターが報じたところによれば、LVMHの香港での2019年第3四半期の売上高は、およそ25%減少している。
すでにリセッション入り
長引くデモで、香港経済は低迷。政府は昨年11月半ば、7~9月にGDPが3.2%減少したとして、リセッション入りしたことを認めた。同地の小売業界は、とりわけその痛みを感じている。10月には売上高が前年比24.4%減少。11月には同23.6%減となった。