経済・社会

2020.01.19 13:00

2020年代にジェンダー・ギャップを解消する3つの戦略


2. 「歴史を加速させる」ためには、政策インセンティブと政治的ロールモデルの両方が必要

現在、全世界の議員35,127人および閣僚3,343人のうち女性が占める割合は、それぞれ25%と21%です。さらに、過去50年間で女性が国家元首を務めた国は、最新調査の対象となった153か国のうち68か国でした。最近では、フィンランドで、世界で最も若い女性首相が誕生しました。

権力のある地位に就く女性が増えるにつれ、次世代にとって、リーダーシップと女性が関連することは当たり前と考える好循環が生まれます。ロールモデル効果はすでに明らかで、有能な女性が政権の高位に就いている国では、財界でも有能な女性がリーダーシップを取っている傾向にあります。


女性は全世界の議員数の25%を占めている (イメージ: World Economic Forum)

公正を根付かせるためには、政策立案やインセンティブの導入が、益々重要な役割を果たすと考えられます。議員や会社役員などの男女の割合を規定する「クォータ制」や、賃金平等法の制定から、育児休業政策、ケアエコノミー(子どもの保育や高齢者の介護、教育など人をケアするための労働)のインフラ構築まで、それは実にさまざまです。

経済面のジェンダー・ギャップ解消のためには、特にこの政策インセンティブが、取り得る手段のうちで最も重要であることは明白です。調査や公表データに見るフランスや英国の成功例や、アイスランドの平等賃金義務化法の施行などから、政策が、比較的妥協なく変化を加速させる効果的な手段となり得ることが示されています。

3. 今がまさに、ジェンダーパリティ(ジェンダー公正)を未来の仕事に取り入れるべき絶好の機会

リンクドインのデータによると、今後急速に成長する8種の専門職のうち、6種の職で女性が不足していることが明らかになっています。需要が伸びている職種のうち、人材や組織、企業文化をテーマとする「ピープル&カルチャー」の分野では、女性が占める割合が大半であるのに対し、「データおよび人工知能(AI)」分野は26%、「工学」分野は15%、「クラウドコンピューティング」分野はわずか12%です。

これらの職務を担う、優れた才能を持つ人材が急速に求められているこの時代だからこそ、ジェンダーパリティ(ジェンダー公正)を未来の仕事に取り込む絶好の機会です。急速に成長する職務に対応できるよう、教育、リスキリング(再訓練)、アップスキリング(技能向上)に重点を置き、熟練した女性の専門家を育てると同時に、専門技能と知識を備える女性が、性差による偏見ゆえ、採用、昇進、雇用継続に恵まれない問題に取り組むことが、まさに今求められています。

特に、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の専門職では、ロールモデルと包括的な職場環境が課題となっています。そして、革新的な人事システムにより、過去の男女間の偏りを是正し、ジェンダー平等や多様性を大きく取り入れることが可能になります。


未来の仕事を見据える必要がある (イメージ: World Economic Forum)
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文=Saadia Zahidi, Managing Director, World Economic Forum

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