ビジネス

2020.01.08 12:00

採用では動きが遅い。「副業人材と企業」をつなぐクラウドワークスの狙い


より時代に合った形でマッチングの仕方も変えていくべき

なぜ、クラウドワークスはこのタイミングで新規事業を展開することにしたのか。その経緯を取締役副社長兼COOの成田修造はこう説明する。

「私たちは2012年からクラウドソーシングの領域で事業を展開し、約7年半でユーザーは316万人、クライアント数は47万社に達し、内閣府・経産省・外務省など政府12府省を筆頭に、80以上の自治体、行政関連団体にも利用されるサービスになりました。この事業を通して、多くの人がさまざまな仕事に挑戦できる環境が構築できたと思っています。今も事業は堅調に成長している一方で、フルコミットは難しいが高い成果が出せる副業・兼業者と、組織課題解決や事業拡大の初期フェーズから相談したい企業を繋げることで、人材活用のスピードを早めながら、スピーディーに成果が出せるのではないか。

いま副業解禁の流れが生まれていて、容認する会社は増えていますが、実際に副業をうまく活用できている会社はまだまだ少ない。企業も副業・兼業人材を活用していった方が経営に生かせるはずですけど、両者をマッチングする場所がない。であれば、ハイクラス人材のマッチングを副業やフリーランスの領域で実現したらいいのではないかと思い、今回クラウドリンクスを立ち上げることにしました」(成田)

エウレカ、バルクオム……すでにマッチングの事例も

約5カ月前に事業の構想が立ち上がり、副業・兼業で手伝ってくれるメンバーもチームに加え、プロトタイプを作成。その後、企業に使ってもらったり、クラウドワークスに登録しているワーカーに使ってもらったりしながら、サービスをブラッシュアップ。その際に、想像していたよりもハイクラスな人材と企業のマッチング需要は高いことに気づき、正式なサービスリリースに向けて動くていくことになった。



「スピーディーに何かを立ち上げたいと思ったとき、採用では少し動きが遅いんですよね。どれだけ頑張っても入社まで2カ月はかかってしまう。しかし副業であれば、翌週から手伝ってもらえる。そのほか、機械学習など専門的な領域に関しては専門家に聞いた方がスピーディーに物事が進められるのですが、ツテがなくコンサルティング会社にお願いしてしまうのが現状で、コンサルテントひとり雇うのに数百万円かかる。ただ、副業・兼業人材は両者相談のもと、双方が納得いく金額で進めることができ、実体験に基づいた考えが聞けて、お互いのナレッジも共有できる。

一番イメージしやすい活用事例は、スタートアップ・ベンチャーとメガベンチャーにいた人たちのマッチングでしょう。あとは業界を跨いでマッチングするパターン、また昨今は大企業はDX(デジタルトランスフォーメンーション)が話題になっていますけど、既存の産業×ITというときに、ITの専門家を入れるパターンもあると思います」(成田)

例えば、恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs(ペアーズ)」手がけるエウレカのデータ基盤構築から活用戦略までの策定をメルカリのデータアナリストが手伝ったり、メンズスキンケアブランドの「バルクオム(BULK HOMME)」を手がけるバルクオムの海外展開のためのマーケティング戦略立案を元ユニ・チャームのフリーランスマーケターが手伝ったりする事例がすでに生まれているとのこと。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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