日本市場が待望 手頃なテスラ・モデル3はEVの概念を変える




さて、パワートレーンはどうなっているのか。動力系は前後に2つのモーターを配置する4WD。しかも、そのデュアルモーター、インバーター、またはバッテリーパックがシャシーの低い位置に配置されているので、コーナーリング中でボディロールはほとんどないし、急ブレーキをかけてもノーズダイブは極めて少ない。

やはり、普通のガソリン車、またはハイブリッド車と違うのは、エンジン音がないことと、スロットル感覚というか加速性が全然違う。ガソリン車と違い、遊びのないアクセルを踏むと、瞬間的に速度が出る。とにかく出だしが速い。車重は1850kg以上と、どのドイツのライバル車より重いのに、0-100km/hは3.4秒とスーパーカーなみだ。だが、強いて言えば、制動力のもう少し強いブレーキが欲しいかな。ステアリングは軽くて手応えが良く、素直で狙った通りに曲がってくれるし、乗り心地も今までのテスラの中で最もしなやかな出来栄え。

テスラが数年前から試している「オートパイロット」という自動運転機能。モデル3のACCがいかに使いやすいか、というと、シフトレバーを2回下にクリックするだけで作動する。また、車間距離や車速の調整は、ハンドルのローラーダイヤルで操作するが、ハンズオフ機能は付いていない。

僕が乗った時は満充電に近い450kmになっていた。都内でのストップ&ゴー走行を繰り返している場合は、航続距離は減っていくのはほぼ予想した通り。でも高速道路でエアコンをかけながら、ワインディングでアップダウンの激しい場所を走ると、航続距離はそれ以上に早く、20%くらい減る。高速走行だとバッテリーチャージの減りが速いことは覚えておこう。

充電はどうすればいいかと心配する人もいるだろう。今、日本国内にはテスラ独自の急速充電「スーパーチャージャー」は、22箇所で、都内には4カ所(丸の内、六本木、お台場、東雲)。テスラによると、その数を少しずつ増やして行こうという。

さて、こんなEVに関心のある人に一言。1モーターで後輪駆動仕様のエントリーモデルだと、511万円で、ロングレンジ仕様は655万円。でも、よりスポーティに乗りたい人は、僕が乗った717万円の4WD仕様を選べば、微笑みが止まらないはず。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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文=ピーター・ライオン

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