それでは、活動水準を高めたい高齢者は何をすれば良いのだろう?
ハイスは「私はいつも、自分が好きなことをするのを勧めている。そうすれば運動をする可能性が上がるからだ。体を動かして脳の健康を促進するのに遅すぎることはない。しかし、始めるのが遅れたため早く結果を出したい場合、運動の負荷を上げる必要があるかもしれないことが私たちの調査から示唆されている」と述べた。ただし、調査の参加者は全員、調査に登録する前に医師から許可を得ていたとハイスは補足した。
重要なポイントは、研究に参加した高齢者が活動水準の低さを除けば健康であった点だ。多くの高齢者はそうでないかもしれない。既に認知症を経験している人が高負荷の運動をした場合、効果はあるのだろうか?
ハイスは「運動は認知症のリスクを下げ、日常生活での活動や可動性の改善を含め認知症の一部の症状を緩和する。また、全般的な認知力やバランスを向上させる可能性もある」と述べつつ、負荷が高い運動が認知症を抱える人にもたらす効果を調べた研究は現時点で存在しないと補足した。しかし、既に認知症を患っている人にも激しい運動が効果をもたらす可能性があることを信じる科学的根拠は存在する。
ハイスは「健康的な高齢者の間における認知症のリスクを下げる治療介入が今すぐ必要とされている。生活様式が果たす役割が評価され始めたのはほんの最近のことで、その中でも最大のリスク修正要因は身体的活動だ」と述べ、「遺伝子を変えることはできないが、生活様式を変えることはできる」と補足した。