B向けのフィンテックソリューションを提供するベンチャー企業・ステップペイは、「ステップカバー(StepCover)」発表。これは、顧客の決済が失敗した際に、人工知能などの技術を使ってその後の行動をフォロー。決済が無事に完了するまでサポートする機能を有している。
ステップペイは、企業が決済失敗によって失う売上はおよそ9%と試算しており、新たな顧客を獲得する費用は既存顧客の維持費用よりも5倍も高いとする。決済失敗をいかにフォローするかは需要な「マーケティング施策」のひとつであるとの立場を掲げており、既存の決済復旧プロセスの課題を解決していくことが企業の利益最大化に資すると強調している。
これまで決済が失敗すると、「決済失敗の通知」「ユーザーによるサービスへの再接続」「サービスへのログイン」「決済手段の変更・修正」など多くのプロセスが必要だった。企業側は、未決済の案件に対して機械的な引出し作業を重ねたり、エラーが続くと電話による督促を行うなどの対応に追われていた。結果、そのプロセスの煩わしさからサービスを離脱するユーザーが発生し、企業にとっては少なくない機会損失、またコストの増大に繋がっていた。
一方、ステップカバーは人工知能を使って決済失敗の理由を分析。その分析結果にもとづき、必要なプロセスを処理できるウェブページを生成し、顧客に直接送付する。顧客は、なぜ決済が失敗したのかを自ら考える必要がない。また、いちいちサービスに接続しなおすなどの手間を取られることがない。
ステップカバーはまた、顧客側が決済可能になる日時に作業を完了できる「スヌーズペイ機能」や、限度額を超えた際に複数のクレジットカードや決済手段を使える「複合決済機能」なども備えている。企業側には、決済失敗によって失われる金額を確認したり、決済復元方法を管理できるダッシュボードが提供される。
韓国は国を挙げて決済のデジタル化を進めてきた。街のいたるところで、電子決済やクレジットカードの使える環境が整っている。ただその過程で、「決済失敗による非効率化」という課題が顕在化し、今回、ステップペイがその状況にソリューションを提供する形となった。なお同サービスは、12月中旬に行われた政府官庁・科学技術情報通信部主催のハッカソン大会で最優秀賞を獲得している。
2019年は、日本社会にとっても電子決済が普及する大きなターニングポイントとなった。肌感覚レベルであるが、買い物シーンでデジタル決済手段を使用する人々の姿をみかけることが増えた気もする。
今後、デジタル決済はますます普及していくはずだが、多くの決済手段が乱立することで生じる不効率、またデジタル決済ならでは課題が顕在化するはずである。人工知能がそれら状況にどのような解決策をもたらすか。新たなAI×フィンテックサービスの登場を見守りたい。
連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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