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コーヒーの需要は世界的に増加を続けている。消費量は世界全体で1日当たり20億杯とされており、市場規模は200億ドル(約2兆1800億円)に上る。

コーヒー豆の価格は2011年に1ポンド(約454g)当たりおよそ3ドルをつけ、その後は一時的に高騰することがあっても、おおむね下落を続けてきた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、2019年10月中旬には同0.93ドルにまで下落。その後は上昇に転じ、12月初めの時点では年初と比べておよそ20%の値上がりとなっている。

このように、コーヒーの価格は常に変動している。そして、価格に影響を及ぼす要因は需要だけではない。生産の大部分を担う発展途上国、特にラテンアメリカでの生産量も重要な要因だ。数年間に及ぶ値下がり傾向は、ブラジルでの生産量が急増したためとされている。

一方、中米ホンジュラスでは数年にわたって干ばつが続き、コーヒーをはじめとする農作物の栽培が大きな打撃を受けている。同国では「さび菌」の被害も拡大しており、コーヒーの木が大量に枯死している。

コーヒー業界を脅かすものは、スペイン語で「ロヤ」と呼ばれるこのさび菌以外にもある。気候変動によって干ばつがより多く発生し、より予測不可能になり、より長期化していることだ。世界中のさまざまな地域のコーヒー農家が、それらによって多大な被害を被っている。

気温が変化すれば、コーヒーはより多くの病気にかかりやすくなる。また、花粉を運んで授粉を媒介してくれる動物の個体数が減少する恐れもある。植物の生物多様性が失われれば、世界中のコーヒー生産者が一層大きな影響を受けることは免れないだろう。

野生種は遺伝的多様性をもたらし、商品としてのコーヒーの種類を増やすことに役立つ重要なものだ。それが失われれば、農家は永遠にその影響を受けることになる。BBCはこの問題について今年初め、次のように報じた。

「世界に生息するコーヒーの木について初めて発表された調査結果によれば、すでに知られている124のコーヒーの種のうち、60%が絶滅の危機にあるという」

「100種類以上ある野生のコーヒーのうち、世界各地でコーヒー生産のために栽培されているのは2つの種。研究者らによれば、これらの種を維持するためには野生種が重要であり、調査結果が示す数値は“懸念すべきもの”だ」

世界的なコーヒーの人気が衰えるとは考えられない。一方で、こうした脅威がますます拡大すれば、価格は今後、さらに高騰(または急落)する可能性がある。

編集=木内涼子

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