※ 以下、佐藤氏のフェイスブック投稿(2014/12/31)より
“常日頃「占いなんてくだらない」と言ってはばからない僕がたまたま手にとった誕生日占い本の「不可能を喜び、不可避を受け入れなさい」という言葉が、2014年最も大きな変化をもたらしました。
「どうにかなる」という強い思い込みは僕の数少ない美点ですが、同時に傲慢さのあらわれでもあり、その解決型志向は周囲のひとたちを傷つけてきた自覚があります。理解すること、わかりあうことや何かを克服すること、だけでなく、わからないことやできないことを受容できるようになりたいと、30歳にもなって願うようになりました。
このことがきっかけで、事業の中での自分自身の役割をシンプルにしぼりました。自分でないとできないこと、決められないこととそれ以外をできる限り正確に切り分け、なれないスーパーマンになろうとするのではなく事業成長に必要な最小限の役割に集中するようになりました。
またメンバーの皆との関わり方も大きく変えました。相手と理解し合うことを目指すのではなく、その人と、その人がもたらす結果をそのまま受け入れるように意識しています。なぜそういう考えになるんだろう、といった視点ではなく、その人の考え方、スタンダードがまず前提としてあり、どのように会社の目標とその人の幸福の距離を近づけていくのか考えるようになりました。
原宿のお粥屋で偶然開いた占い本に救われるほど、僕の人生などふわふわしたもので、なんでもなく、ササッとこしらえた鍋のように、具材ひとつや調味料ひとさじでまだまだ味が変わることがうれしく、少しかなしいという感じです。”(後略)
佐藤氏:(笑)。だから、フリークアウト時代を知っている人がheyでの僕を見たら、あまりのキャラの変化にびっくりするんじゃないかな。
heyの経営陣
経営者に必要なのは、スピードだけではない
塩田氏:「第三者に不安を吐露する」「従業員の感情を汲み取る」って、できればいいとは思うものの、なかなか実践するのは難しいよね。裕介くんはどうやってできるようになっていったの?
佐藤氏:そこは、お得意の「解決型思考」でなんとかしました(笑)。自分のなかに行動ルールを作り、1年近く、破らないように意識して行動していましたね。
塩田氏:マイルールを作って、「型にはめる」ことで変化させてたんだ。「ハートドリブン」なことをしようとしているのに、手法が従来の課題解決思考なのは面白いね。ちなみに、どんなルールを作っていたの?
佐藤氏:行動ルールを作るなかで大切にしていたのが、個人のスタンダードを尊重すること。フリークアウトが上場する前のマネジメントは「これが最適解でしょ?」「あなたのやり方は非効率です」みたいな感じで、個人が大事にするものに敬意を払えていなかった。ですが、マネジメントを変化させていくなかで「個人のスタンダードと会社が求めるものを、どう近づけていくか」を考えるようになりましたね。
実際にルールとしていたこととしては「感情を野放しにしない」こと。たとえばチャットのコミュニケーションでも、自分の中で解決できなかったり、不安がある場合は勢いで返信せずに「一旦置いて考える」ようにしたんです。
起業家って反射的に答えを出してしまうひとが多いと思うんだけど、モヤっとした感情を野放しにしておくと、気づいたらメンバーの不満が溜まっていることもある。「このメッセを送るってことは、こんな痛みを感じているのではないか」と、言外にある意味を考えてから返信するようになりましたね。