「料金の計算方法を複雑にする」という戦略
先ずは客引き、いわゆるキャッチに「〇〇円で遊べます。でもそれ以外は別料金です」という説明をさせる。例えばこんな感じだ。
「1時間3000円でサービス料も消費税も込みで焼酎は飲み放題。ただ、1時間以降は通常セット料金に自動延長で、女の子のドリンク代、場内指名料などは別料金になります。その全ての料金にはサービス料、消費税が掛かるという形になりまーす」
テレビやぼったくられ経験者の言う「ぼったくり」の原因はこの「ただ、〜」以降の部分。そう『サービス料』だ。サービス料とは、飲食店やホテルなどサービスを提供する施設で、チップの代わりに対価に上乗せされる金銭のことを言う。
外国でいう「チップ」と似たものだが、チップはサービスを受けた側が払うか払わないか、いくら払うのかを決められる。しかし、サービス料は合計金額に上乗せされ、請求されるので客側に決定権がないのである。
水商売の業界では、小計と呼ばれるメニュー表に記載されている金額に、サービス料と消費税を加算したものが最終的に客に請求する会計になる。例えば、ホストクラブでは35%~50%、キャバクラでは20%~35%がサービス料の相場と言われており、そこに消費税を加算するのだ。
それだけ聞くと、そんな問題か? と思うかもしれない。なぜなら、高級レストランでも同じだからだ。しかし、もう少し色んな要素があるのが夜のお店なのだ。テーブルチャージ・指名・場内指名などなど……
※一般的なキャバクラの料金表グラフ
例えば、このお店で20時に入店するとしよう。先ずは入店するのに必ず掛かるセット料金7000円、そしておつまみなどお通し代のテーブルチャージ2000円がかかる。
飲み物はビール(1000円)を頼み、席に着いてくれる女の子もビール(1000円)を飲みたいというので注文する。暫くして女の子が入れ替わりカクテル(1000円)を頼み、このままこの席で飲みたいというので、隣に居続けることが出来る権利の場内指名(3000円)を入れてあげる。私もビールの追加注文を2杯(2000円)、女の子もお代わりを一回(1000円)頼む。
ここで会計をする。時間は21時30分になっていた。ここまでにかかった総額は、セット代 7000円+テーブルチャージ 2000円+延長30分 4000円+飲み物代 6000円+場内指名料 3000円=22000円。それにサービス料20%を掛けると26400円、消費税を掛けて29040円となる。
提示されている記載通りの会計はこうなる。決してぼったくっている訳ではないが、正直わかりづらい。
酔っぱらった勢いで気持ちが大きくなってしまっている状態で、注文する度にメニューに記載の料金にサービス料を掛けた計算が出来るだろうか。そんな細かい計算は慣れないとなかなか出来ない。
ホストクラブでも、この慣例はずっとあって、会計時に「こんなに高いとは思わなかった」という揉め事は幾度となく見てきた。
それを防ぐために、ホスト達は、お客様がお酒をオーダーする時に、わざわざ店の内勤者に、「〇〇をオーダーしたら会計はいくらになりますか?」と聞きに来る。お客さまにも店舗にとっても手間なのだ。