「自動運転をオープンソース化」するAptivと現代自動車の試み

Aptivの技術が搭載されたBMW(Michael Vi / shutterstock.com)

自動運転技術には、ブラインドスポット検知を管理するボックスや車線変更アシストを管理するボックス、ACC(車間距離制御装置)を管理するボックスなど、機能ごとにボックスが必要だ。ボックスに障害が発生すると、そのボックスが管理する機能は使用できなくなる。

自動車部品メーカー「Aptiv」は、ボックスの数を減らしてコストを削減すると同時に、システムの冗長化を実現することに成功した。センサーに依存する自動運転技術にとって、これは大きな成果だ。

Aptivは、新たに開発した「Smart Vehicle Architecture(SVA)」を、2020年1月にラスベガスで開幕する「CES 2020」で発表する予定だ。従来は、機能ごとのソフトウェアとハードウェアが小型の専用ボックスにインストールされていた。

これに対し、SVAはクラウドサーバーを用いることでボックスの数を減らし、機能間でハードウェアを共有することで柔軟性と冗長性を持たせ、コストを削減した。ソフトウェアは、OTA(無線経由)でアップデートされる。

「車両には、機能ごとに専用コンピュータが入ったボックスが存在する。現状は機能間でコンピュータを共有しておらず、非常に非効率な状況になっているため、異なるドメインを横断してタスクを共有できるようにするのが望ましい」とAptiv のシニア・バイスプレジデント兼CTOのGlen De Vosは話す。

最低限のドライバーアシスト機能であっても、車両には多くのソフトウェアやデータ処理能力が必要となる。システムがほぼ全ての操作を行う自動運転レベル4〜5にもなると、さらに複雑な処理が必要だ。

「車両のアーキテクチャや、ハードウェアとソフトウェアのコンビネーションを考えたとき、ソフトウェアコンテンツの増加と、それに伴う処理能力の増強が車両アーキテクチャの足かせとなっている」とDe Vosは言う。

彼は、米国自動車技術者協会(SAE)が定める自動運転レベル2〜2.5(部分運転自動化)の車両は価格が手頃であることから、2025年までに業界のベースラインなると予測している。
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編集=上田裕資

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