マイノリティを否定する側が、マイノリティになりつつある
それでは、企業が促進すべき「真に多様性のある社会」とは、どのようなものなのか。杉山はこう言う。
「LGBTだけでなく、高齢者や外国人などを含む多様性は、『全員』に関わる話ですよね。誰しも当事者になる可能性があります。だって、歳を取れば高齢者になるし、海外に行けば外国人になる。僕のパートナーだって、僕と付き合って初めてLGBTの課題に直面することになった。誰もが、明日当事者になるかもしれないし、一生ならないかもしれない。そんな課題に対して、『社会全体で準備』するのが大切なのではないでしょうか」
企業が先陣切って多様性のある社会を促進すると同時に、それに対し反対する声へ真摯に向き合うことも必要、と杉山は言う。
「反対されている人には、何かしらの不安がある。その不安に対し、丁寧に向き合うことも必要です」
チャーター便に搭乗したキャビンアテンダント
ここで小田が杉山に「企業の不安は、正直、活動に対して反対されるお客さまもいるということなんです。反対される方のそういう『不安』は、どのようなものなのでしょうか」と問うた。杉山は、こう答えた。
「社会の『変化』に対する漠然とした不安だと思います。今は、マイノリティを否定している人たちが、マイノリティになりつつある。そんな変化を元に、自分の権利が奪われるんじゃないかと不安を感じているのかもしれません。
だから、『マイノリティに対する理解により社会が変化したとしても、あなたの生活は変わらないし、権利は奪われない』と丁寧に伝えることが重要だと感じます。日本社会全体で次のステージに進んでいかないといけないのかもしれませんね」