その一つが、男女の枠に囚われないポジティブなメッセージだ。子どもの頃はメイクや可愛いものが好きという「男らしくなさ」に悩み続けてきたというりゅうちぇる。しかし、いまではそんなジェンダーレスな魅力を武器に活躍。「男らしさ、女らしさに縛られないで」と発言して、男女問わず広い人気を獲得している。
そんな彼が、「自分を偽り続けた」という過去や、そこから自信を取り戻すに至った経緯を語る。
対談相手は、自身も女性から男性に性を移行したトランスジェンダーで、4月28日、29日に日本最大のLGBTプライドパレード「東京レインボープライド2019」を開催するNPO法人東京レインボープライドの共同代表理事・杉山文野。
今年1月には、女性のパートナーが男性同性愛者(ゲイ)の友人からの精子提供を受けて子どもが生まれた。杉山は「父」としての生活をスタートしている。
自らの性について悩みながらも一歩ずつ歩いてきた2人が、いま感じていることとは。前後編に渡り、2人の対談を公開する。
環境を変えることを「逃げ」だと思わないで
杉山:りゅうちぇるさんもぺこさんも、SNSでの発言がとてもポジティブで、いつも元気をもらっています。いつもポジティブシンキングでいられる秘訣などはあるのでしょうか?
りゅうちぇる:僕だって落ち込むことはありますよ(笑)。それどころか、昔はネガティブなことばかり考えていました。
けれどいまは、凹んでも割とすぐに立ち直るようになりましたね。自分のことを好きになれたのがきっかけだと思います。
杉山:「自分のことを好きになる」って、簡単にできることではないですよね。りゅうちぇるさんの場合は、やはりSNSで人気が出てきたことがきっかけだったのでしょうか?
りゅうちぇる:もちろんそれもあります。でも一番大きかったのは、高校進学の際に、同級生があまり進学しない遠くの高校を選んだこと。
「自分を変える」というと、「自分の考え方を変えなきゃ」と無理をしてしまう人も多いですが、それより素の自分を見せることができる相手がたくさんいる場所に移動した方がいいと思います。環境を変えるのは「逃げ」ではなく、大事な「手段」なんです。