大麻の合法化に明確に反対してきた従来の立場から、微妙に軌道修正を図った可能性がある。
バイデンは16日、西部ネバダ州ラスベガスでタウンホール集会を開き、その席で「実情を言えば、大麻がゲートウェイドラッグなのかどうかに関しては、これまでに得られた証拠は決して十分なものではない」と認めた。
その上で「議論が行われている。私としては、全米で合法化する前にはもっと議論してもらいたい。どういった科学的な知見に基づいてそれが可能なのか、国民がもっと分かるようにしたい」と語った。
麻薬対策を強化するための法整備を長らく支持してきたバイデンは、以前は大麻はゲートウェイドラッグだと考えていると明言していた。
例えば、バラク・オバマ政権の副大統領を務めていた2010年には「今でも大麻はゲートウェイドラッグだと思っている。私は(上院)司法委員会の委員長として、この問題に長く取り組んできた。合法化するのは誤りだと考えている」と述べていた。
ただ、集会に参加した有権者から、大麻に関する立場が変わったのかと問われると「いいえ、変わっていない」と答えた。大麻の解禁は個人的には支持しないとしつつ、「合法化の判断は各州に任せるべきだ」「それで十分だと思う」とも話した。
バイデンの選挙運動チームは先に、バイデンが大麻に関して、規制薬物に関する連邦法の下での分類を小幅に変更すること(使用が最も厳しく禁止される「スケジュールI」への指定を、1つ下の「スケジュールII」に改める)や、所持については罪に問わないことを支持すると明らかにしていた。
バイデンは今回の集会で、大麻の所持について「犯罪として扱うべきではない。民事罰にとどめるべきだ」と表明。「大麻の使用で有罪となり、収監された人たちは即座に釈放すべきだ」とも述べた。医療用大麻については支持する考えも明らかにした。
米国立薬物乱用研究所(NIDA)は大麻の使用者について「大部分はより『ハード』な薬物に手を出していない」としている。
全米科学アカデミー傘下の医学研究所(IOM)が1999年に発表した報告書でも、大麻は「深刻な麻薬乱用の原因や、その重大な前兆になるという意味でのゲートウェイドラッグではないようだ。その関連性に原因を帰さないように注意しなければならない」と記している。
またこれまでに、大麻が合法化された州では鎮痛剤オピオイドの過剰摂取が減ることや、医療用大麻を使用する患者は鎮痛剤の服用量が少なくなることを示した研究もいくつか発表されている。
関係者2人によると、上院司法委員会は週内にも、連邦レベルで大麻を合法化する法案を採決にかける見通しだ。