ビジネス

2019.11.15

米スタバの「誰でもトイレ使用可」方針と企業のジレンマ

Photo by Joe Raedle/Getty Images


悪影響を受けたのは、客足だけではない。スタバは近隣のその他のコーヒーショップなどと比べ、顧客の平均所得が大幅に低下していた。“より裕福な”顧客の来店回数が減ったためとみられる。

また、店内での滞在時間は他社の店舗より平均4.2%短くなっていた。顧客が短時間で店を出る傾向は、シェルターに最も近い店舗で特に目立っている。報告書によれば、「商品を購入せずにテーブルやトイレを使い、店内に長居する少数の人たちが、来客数全体に非常に大きな影響を及ぼしている」とみられる。

企業が抱えるジレンマ

最新の決算結果からみれば、スタバはトイレの使用に関する方針を変えたことの潜在的な悪影響に耐えることができそうだ。一方、報告書は同社のような公開会社が直面するジレンマを浮き彫りにしている──「社会的に責任ある行動」が株主の利益と一致しない可能性がある場合、企業はそうした行動をどのように取るべきだろうか?

報告書はこの問題について、「公共財の供給が株主の富の増加につながるかどうかは分からない」と述べ、次のような見解を示している。

「店舗はいずれかの時点で、顧客ではなく同時に他者の購入を妨げる可能性が高い人への公共財の供給をどの程度まで削減するかについて、決断を下さなければならない」

「…スタバが導入した方針がマイナスの影響を及ぼしたことは、利益を最大化したい企業が今後、最も購入意欲が低いと思われる人たちに公共財を十分に供給しなくなる可能性が高いことを示唆している」

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事