だが、このほど発表された調査結果によれば、「すべての人にとっての“第3の場所”になる」という方針のために、同社は大きな代償を支払うことになっている可能性があるという。
テキサス大学ダラス校とマサチューセッツ州にあるボストンカレッジのビジネススクールがデータ収集・解析を専門とする米セーフグラフ(SafeGraph)の協力を得て行った調査によると、新たな方針を採用した昨年5月以降、スタバの店舗の月間来客数は、それぞれの近隣にあるほかのコーヒーショップやレストランと比べて6.8%減少していたことが分かった。
セーフグラフは2017年1月~2018年10月に1000万台以上の携帯端末から収集・匿名化した位置情報を分析。データにはスタバの店舗およそ1万800軒と、周辺のその他のカフェなどの来客数が含まれている。
調査結果をまとめた報告書は、「スタバの来客数の減少幅は大きく、重大な意味がある」と指摘。一方、同社の広報担当者の責任者は、「調査は携帯電話ユーザーの位置情報データに基づいたもの。だが、私たちは実際の顧客をみている」として、結果に異議を唱えている。
業績は好調だが──
スタバが10月末に発表した2019年度(9月29日まで)の決算結果では、米国の既存店の売上高は前年比5%増、客単価は同3%増だった。また、第4四半期(同日まで)の既存店売上高は同6%増加しており、およそ3年ぶりの高い伸び率を記録した。同社のケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は、客足は営業時間中の「すべての時間帯において」伸び続けていると説明している。
だが、報告書によると、スタバが新たな方針を決定した後、ホームレスの一時宿泊施設(シェルター)に最も近い店舗と最も遠い店舗では、来客数の減少率に2倍近い差が出ている。さらに、スタバの店舗周辺では、路上での排尿が確認される件数が減少しているという。