巨匠ダ・ヴィンチの天才ぶりを示す「500年前の橋」の設計図

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1502年にルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチはオスマン帝国のスルタン(皇帝)のバヤズィト2世に手紙を送った。皇帝は当時、イスタンブールのボスポラス海峡にある金角湾に架ける橋の設計プランを求めていた。

ダ・ヴィンチが手紙の中で記したのは、「建物ほどの高さがあり大型船も下を通れる石橋」で、全長366メートル以上に及ぶものだった。強風にも耐えられるよう両端には巨大な橋台が備えられていた。この橋は、地震の多いイスタンブールで強い揺れにも耐えるように設計されていた。

イスタンブールは、アナトリア・マイクロプレートとユーラシア・プレートの間にある断層の上に位置している。それぞれのプレートが動くとひずみが蓄積し、限界に達すると大きく動いて地震を引き起こす。

ダ・ヴィンチの橋の案は却下され、金角湾に橋が架かったのは19世紀に入ってからだった。しかし、仮にこの橋が実現していたら、当時としては世界最長であり、単一の石積みアーチの橋としては現在でも世界最長のものになっていた。

そして、ダ・ヴィンチの死から500年が経過した今、マサチューセッツ工科大学の研究チームが、この橋が建設可能だったことを実証した。橋の500分の1のモデルと2つの稼働プラットフォームを使い、実際に地震が起きた場合の動きを再現したところ、126の石で支えられたこの橋の安定性が証明された。

ダ・ヴィンチが手紙を送った54年後に、現在はイスタンブールと呼ばれるコンスタンティノープルを強い地震が襲った。多くの建物が倒壊し、1万3000人が命を落としたと推定されている。

ダ・ヴィンチが設計した橋が現代になり、実際に建設された例もある。2001年には、ノルウェーのオスロ近郊にダ・ヴィンチの設計を基にした全長109メートルの橋が建設されていた。

編集=上田裕資

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