テクノロジー

2019.11.01 17:00

規制進む電動キックボード 入札でシェア企業を選別する都市も


スウェーデンのボイは、入札で勝つ鍵は駐車の技術にあったと述べている。同社は、駐車できない場所を早くから設定し、あまり人通りがないような場所に駐車することでボーナスを与える制度も作っていた。

また、市場の力により勝者と敗者が分かれて一部の企業以外は消えるので、自治体による過剰介入は必要ないと主張する人もいた。しかし、ボイのコミュニケーション担当副社長を務めるクリスティーナ・ハンター・ニルソンによると、同社はこうした入札が今後の方向性として正しいものだと考えている。ニルソンは「市場のプレーヤーにただ闘わせるのは危険だ。その間にも、道には市民がいるからだ」と述べた。

また、安全面でのイノベーションも導入されている。一部の北欧都市では現在、電動キックボードの速度が自動的に制限される「減速ゾーン」が設定されている。

欧州ではこれまで、異なる規則がばらばらに導入されてきた。ドイツの場合は他都市と違い、最初は電動キックボードが禁止されていたがその後許可され、代わりに小さなナンバープレートをつけることが必要とされている。一方、他都市ではナンバープレートの有効性が疑問視され、フランスが先導した入札の選択肢の方に期待が寄せられている。ストックホルムも現在、入札の準備を進めている。

入札の反対派らは、入札を完了しても安全と混雑に関する根本的な問題が解決できないと主張している。入札で選ばれた3社は最終的に、10社存在していたときと同じ数のキックボードを生産するはずだからだ。また電動キックボードは、車の使用を減らすよりも主に歩く代わりに使われているとして、その費用対効果についても疑問の声が上がっている。

電動キックボードの使用者4000人に対し、キックボードがなければどのように移動したかを尋ねたフランスの調査によると、歩くと答えた人は44%、公共交通機関を使用すると答えた人は30%、自転車を使うと答えた人は12%で、個人の車を使うと答えたのはわずか3%だった。

しかし、電動キックボード企業は新たな技術の開発や規制の改善とともに、電動キックボードの乗り手と車の運転者の両方が互いの存在に慣れるようにすることで事故や混雑が減り、キックボードは都市の有益な移動手段になると確信している。

欧州では今後15年で、市街地での従来型ガソリン車の走行を禁止することが計画されている。その中で、電動キックボードは非常に便利で貴重な存在になるかもしれない。

翻訳・編集=出田静

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