グローバル化により、感染症のパンデミック(世界的流行)が危惧されている。そんななか、排泄物の分析から「病を封じ込める」研究が注目を集めている。
咋年、エボラ出血熱が西アフリカを中心に流行り、アメリカでも二次感染が発生するなど、世界中に緊張と不安をもたらした。だが、深刻な感染症はほかにもある。
アメリカの公的保健機関は1888年から毎週、そうした疾病についての報告を受けている。右上のチャートからは、全58種の病気がどの時期を中心に報告されたがわかる。興味深いのは、エイズ(後天性免疫不全症候群)のように、一時期はひどく恐れられた病の報告義務がなくなっている点だ。治療の進歩や特効薬の開発のおかげである。
そして、感染症を「予防」する研究も着実に進んでいる。インフルエンザから大腸菌O157に至るまで、ウィルスや病原菌は排泄物に混じって下水に流れる。そこで、下水道から直接DNAを採取・分析して、疾病の種類や感染者の有無、所在を調べるのだ。
正確なデータの採取や地図化にはもう少し先になりそうだが、実用化の動きもある。「パンデミック」が死語になる日はくるのか?