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2019.09.21 11:00

リニューアルで来場者3倍。新潟の山奥にできた「アート」制作秘話

新潟県十日町市の清津峡渓谷トンネルの終着点、パノラマステーション(Photo by Osamu Nakamura)

新潟県十日町市の清津峡渓谷トンネルの終着点、パノラマステーション(Photo by Osamu Nakamura)

SNSにアップされる写真が話題となり、観光誘客に成功した観光地がある。

新潟県十日町市にある「清津峡」。黒部峡谷、大杉谷とともに並ぶ日本三大渓谷のひとつである。

2018年、大地の芸術祭をきっかけにアート作品として大幅リニューアルすると、それまで年間6万人と横ばいで推移していた来場者が、3倍の18万人まで増加。今年度も勢いはとどまらず、30万人まで増えると予想されている。このままいくと、十日町市内で人気の越後妻有里山現代美術館[キナーレ]を抜き、最も観光客が訪れる場所になる。

十日町市とはいえ、清津峡は中心地から1時間近く離れた山奥にある。アクセスは決して良くはない。しかし、私もこの夏に訪れてみると、渓谷の麓まで行列ができ、1時間以上は並ばないと入れないほどの賑わいを見せていた。公式ツイッターを開設して混雑情報を提供したり、シャトルバスを走らせるなどの対策が求められるようにまでになっている。

清津峡を一変させたアート作品「Tunnel of Light」はどのような背景から生まれたのか。制作者の一人であるMAD Architects社のパートナーの早野洋介氏と、十日町市観光交流課課長の樋口氏にその制作秘話を聞いた。

MAD Architects社と十日町市の出会い

全長750mの清津峡渓谷トンネルは、日本でも珍しく観光することを目的に掘られたトンネルだ。その終点には、清津峡を正面から一望できる「パノラマステーション」という場所があり、それ以外にも、トンネルの途中3カ所に展望台が点在し、渓谷を様々な側面から楽しむことができる。


リニューアル前のパノラマステーション。展示物での説明調になっていて魅力が伝えきれていなかったと語る

しかし、老朽化に伴い、十日町市は改修を考えていた。そこで大地の芸術祭の総合ディレクター北川フラム氏に相談すると、MAD Architectsを紹介されたという。

MAD Architectsは、馬岩松(マ・ヤンソン)氏と党群(ダン・チュン)氏、そして日本人の早野洋介氏による建築家グループ。中国北京に本社を置き、120名ほどの社員を抱え、アジアを中心にグローバルに展開している建築デザイン事務所だ。

改修にあたっての十日町市からの依頼は、以下のようなものだった。

・全長750mのトンネルの中にトイレを設置
・展望足湯のあるエントランス施設の新設
・パノラマステーションにアート・建築作品を加えることで、新たな魅力を作り出したい
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文=内田有映 取材協力=早野洋介、樋口正彰、山口朋子

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