ビジネス

2019.09.21 11:00

リニューアルで来場者3倍。新潟の山奥にできた「アート」制作秘話

新潟県十日町市の清津峡渓谷トンネルの終着点、パノラマステーション(Photo by Osamu Nakamura)


今までパノラマステーションでは、逆光になりうまく記念写真が撮影できなかった。それが現在は、シルエットが水面に反射するため、両手を上げるなど、全身を使い表現した写真をとる遊びのスポットに様変わり。インスタグラムなどSNSで話題となり、瞬く間に拡散した。
advertisement

実際に足を運んでみると、待っている間、色々なポーズをする人の姿を見ているのも楽しく、自分たちはどんなポーズをしようかと盛り上がる。隣に並んでいた家族は、インスタグラムを見ながら考えていた。

シルエットがアート作品の一部になる

そして、撮影した写真を振り返ってみて見ると、まるで自分がアート作品の一部に入り込んだ没入感を覚える。シルエットになったことで、アート作品としての再現性が保たれて、誰もが均質に同じような美しい作品に仕上がる。
advertisement


清津峡でポーズをとりながら、シルエット写真を撮影している親子連れ。その背景には清津峡が映し出されている

「バスツアーで年配層が訪れる通過型の観光地であったが、リニューアルにより若い層にリーチできたことが一番大きい。アートというフィルターにより、清津峡のポテンシャルが広く認知されている。一年を通して、清津峡の四季を体感できる一番欲しかったコンテンツだ」と十日町市の樋口氏は満足気に語ってくれた。

冬期は雪崩の影響もあるため閉鎖されるが(昨年は1月〜3月に閉鎖。その年の降雪状況によって異なる)、これから清津峡は、紅葉、雪景色と姿と映し出し、違う一面を見せて楽しませてくれる。

新潟県十日町市には、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]、「光の館」、「たくさんの失われた窓のために」、「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」など、大地の芸術祭で生まれた多くのアート作品や観光スポットが点在する。清津峡を訪れる際には、周辺スポットのチェックも忘れずに。

連載:「遊び」で変わる地域とくらし
過去記事はこちら>>

文=内田有映 取材協力=早野洋介、樋口正彰、山口朋子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事