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ライフスタイル

2019.09.16 17:00

モルディブ最南端の島で見た「ラグジュアリーリゾート」の姿


他にも「ドクター・アリ」という、インド、アラブ、アジア料理を提供するレストランがある。ドクター・アリとはモルディブで、世界を旅してスパイスを持ち帰ってきたと語り継がれる伝説的な人物だ。一見バラバラに見える地域を、ストーリーでつないでいく。少なくないインド、中東、中国からの客に対応する狙いもあるという。

例えば、タマリンドとコリアンダーでマリネしたマヒ・ハスという地元の魚を使った料理は、日本ではあまり見かけないペルシア料理で、同じリゾートに所属するイラン出身のハメットシェフの直伝レシピだ。また、チキンティッカマサラは、インド・ニューデリー出身のラティーフ・モハドシェフの料理。こういった料理にも、農園からの唐辛子、ミント、インゲン豆が使われていた。

サンゴを植えるワークショップも

そして、「食」だけではなく、このリゾートの違いが際立っているのは、美しい海を守るための活動も行なっていることだ。「コーラル・ナーサリー・スポンサーリング」というプログラムでは、宿泊客が、海中の小さなサンゴを育てる施設の「スポンサー」となり、実際にサンゴを植えるワークショップも行っている。



金属でできたジャングルジムのような形の施設には、スポンサーの名前とメッセージを入れたタグをつけることができる。実際に海に潜ると、白い砂浜に面したラグーンに大きなサンゴがのびのびと育っており、熱帯魚の群れがそこここに泳ぐ姿に、プロジェクトが自然の中で根を下ろしているのを実感できた。

刻々と変貌を遂げるラグジュアリーリゾートの世界で、多様な宿泊客の要望にどう応え、どのように他との違いを打ち出していくのか。その理想形を、ここモルディブのシャングリ・ラ・ヴィリンギリ・リゾートで見た気がした。

文・写真 仲山今日子

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