パリス・ヒルトンなど、数々のセレブがお忍びでやってくるリゾート「フィノール」。元々は、以前に紹介した、家のようにくつろげる「アミラフシ」と姉妹リゾートで、スピードボートで20分ほどの距離でもあるため、なんとモルディブでは珍しい2島滞在ができてしまう。
フィノールをつくったのは、アミラフシ同様、リゾートのコンセプトづくりでは定評のあるマーク・ヘア。彼は「アミラフシのゆったりとくつろげる『家』というコンセプトはとても落ち着くけれど、長期滞在ともなれば、たまにはちょっとハジけたいという人もいるのでは」と言う。
ましてや、遊び慣れたセレブならなおさらのこと。それならいっそ、エンターテインメントをキーワードにしたリゾートを別につくってしまおう、というのが元々のアイデアだった。ヘアは「リゾートといえば、ゆっくり過ごすもの、という定番の考えを大きく変えたいと思った」とも語る。
炎を使ったダイナミックな料理
それを象徴するのが、多くのエンターテインメントの専門家たち。マジックなどを見せてくれるパフォーマー、ダンサーのみならず、照明の専門家、音響の専門家だけでも3人いるという充実具合。
夜10時頃から夜中の2時まで、毎日のようにDJブースが設置されて、パーティが行われる。とはいえ、客室がとても静かなのは、音が海に逃げるように設計しているからだという。
私が訪れたタイミングでは、サーカスやファイヤーショー、そしてブルーライトが輝く中、夜光塗料を使ったフェイスペインティングをして楽しむDJナイトなどが行われ、若い人からリタイヤ後の夫婦まで、世代もさまざまに集っていた。ガチャガチャとした雰囲気ではなく、フェイスペイントをしながら、家族やリゾートで出会った友人たちと語らう、肩の力が抜けたリゾートモードのクラブナイトだった。
レストランも、エキゾティック。オールデイダイニングの「バァ・バァ・ビーチダイナー」の他に、シグネチャーレストランは、中国料理と、インドネシア、ベトナム、シンガポールなどの東南アジア料理を出す「カヌサン」と、北アフリカ料理の「バハグリル」がある。
どちらにも共通するのは「炎を使ったダイナミックな料理」を「オープンキッチンでつくる」こと。客席からは、キッチンで巧みに火を操る様子が見られる。
カヌサンの中国料理の決め手となるのは、高温の火で油を熱すると出るスモーキーな香り、Wok(ワック)であり、それを満喫できる近海で取れるマッド・クラブのペッパーソース炒めをはじめ、点心や北京ダック、タイのトムヤムクンやシンガポールのラクサ、日本のうどんまでを楽しめる。