「大きな島だからこそ、プライバシーが守られる。ジャングルもあり、もしリゾートが100%の宿泊率だとしても、そのように感じられない静けさがある」
こう語るのは、このリゾートのジェネラル・マネージャー、フィリップ・クラヴェロッテだ。さらに、この島にはモルディブのリゾートでは唯一、9ホールのゴルフコースもある。
「もちろん、ゴルフがこのリゾートが選ばれるいちばんの理由ではないが、大きい島だからこそ提供できるサービス。こういった違いが、魅力になっているのは確かです」
また、モルディブのなかでは最南端にある島だけに、首都マーレから最寄りの空港ガンまでの国内線では、赤道を飛び越える。その時に、シャングリ・ラの宿泊客のみ、名前入りの「赤道通過証明書」を受け取れるという「違い」もある。
このリゾートでは、2017年11月から、QRコードをスキャンすることで、全てのアクティビティを手持ちのスマートフォンから確認でき、フィードバックや質問なども行えるというシステムを導入した。
「今は誰でも自分のスマホを肌身離さず持ち歩く。ポスターを至る所に貼ったり冊子を置いたりするよりも、ゲストにとってこちらの方が便利なのだ」とクラヴェロッテは言う。温暖化で海面上昇の危機も叫ばれるモルディブは環境への意識も高く、ゴミとなる紙資源を使わずに済むアプローチでもある。
これからはオート・リゾートの時代
このように他のリゾートとの違いを強調するクラヴェロッテは、「かつてはリゾートに来るのは50代以上の人たちが中心でしたが、ロシアや中国からのニューマネーの流入を背景に、今は訪れる人がどんどん若くなってきている。ラグジュアリーな世界にアクセスする人の絶対数が増えているのです」と現状を語る。
だからこそ、世界中にあるラグジュアリーホテルやリゾートも、多くの選択肢の中から選ばれるには、他と差別化するプラスαの要素、つまり「違い」が必要となるというわけだ。
朝食会場でゲストにウェルカムシャンパンを配るのがクラヴェロッテの日課だ
「例えば、モルディブには、リゾートに入ると靴を脱ぐことになっているリゾートがあります。それは、もしかしたら不便かもしれません。だけれども、ゲストにとっては、その違いが、特別なグループに入っている、ということでもあるのです」