さらに、クラヴェロッテは、ここシャングリ・ラ・ヴィリンギリ・リゾートでは、次のようなコンセプトで新しい客層へアピールしようとしていると語る。
「これからは、自分の思うがままにリクエストしたものが準備されている、オートクチュールならぬ、『オート・リゾート(Haute Resort)』の時代だと思う。あらゆる要望が宿泊に含まれていて、すべてが自分の思った通りに動く。例えば、ボートを頼めば、5分以内に来て、通訳もアレンジされている、そんなストレスフリーのサービスです」
モルディブを体現するレストラン
では、クラヴェロッテは、違いを際立たせるサービスを、他にはどのような展開をしているのか、宿泊施設ではもっとも重要な要素のひとつである「食」の面から見ていこう。
リゾートのあるヴィリンギリ島はサンゴ礁の島ではあるが、中央には「シェフズ・ガーデン」という農園が開かれ、レストランで使われる野菜やハーブなどが育てられている。他のリゾートでは多くの野菜を島の外から輸送しなくてはならないが、ここでは獲れたてで新鮮なものが食べられるというわけだ。
もちろん、レストランにも違いを感じさせるこだわりがある。
オールデイダイニング「ジャブー」では、曜日によってビュッフェの内容が変わるが、週に1度、モルディブがテーマのビュッフェとなる。約20種類のローカルフードが並び、音楽までが生演奏のモルディブ音楽だ。
「違いを際立たせるためには、少しだけモルディブ料理を楽しむというのではなく、ここをモルディブ料理を代表する場所にしなくてはならない」というのが、クラヴェロッテの考えだ。
また、シグネチャーレストランとして、地中海料理の「ファシャラ」がある。
4月のイースターのタイミングには、香港で日本食材を生かしたフランス料理を提供しているミシュラン1ツ星の「タクミ・バイ・ダイスケ・モリ」の森 大佑シェフを招いて、5日間のポップアップイベントを実施。いつもよりワンランク上の食体験を打ち出していた。