政府がこれまで取ってきた他の措置に鑑みると、出生地主義の廃止が非正規移民を標的としたものであっても、米国人が連邦政府、あるいは仲裁人に対し自分の子どもが米国市民だと証明する必要が出てくるのは明らかだ。米議会は1986年、非正規移民の就職を防ぐことを目的とした「移民改革管理法(IRCA)」を承認したが、同法は米国人の就職希望者にも新たな重荷を課した。同法の下では、就職する米国人は全員、米国での就労資格を証明する書類の提出が必要とされた。
カスケディア・クロスボーダー・ロー・グループ(Cascadia Cross-Border Law Group)の弁護士、マーガレット・ストックは、米国政策財団(NFAP)のためにまとめた報告書で、出生地主義が廃止された場合に子どもを持つ米国人に及ぶ影響について指摘している。
ストックは「出生地主義の廃止支持派は、新たな規則をどのようなものにするかについてまだ合意していないが、新規則がどのようなものであれ、米国生まれの新生児について誕生時の親の資格に応じて異なる階級を設けるべきだということでは一致している」と述べている。「新生児に2つの階級を作れば必然的に、現在のシステムより運営費が高くなる。親の資格は政府職員により検証される必要があり、政府職員は次に新生児が米国市民であるかどうかを決めることになる」
つまり、出生地主義を廃止する影響の一つとして、連邦政府がより大きくなるのだ。「現在の明確な規則に変更が加えられれば、全ての米国人の生活がより複雑になり、官僚的手続きが増えることは避けられない」とストックは指摘する。