ビジネス

2019.09.06

米企業はなぜ中国を選ぶのか? 進出先として優れている理由

上海 Gettyimages


・汚職と犯罪

中国は腐敗している。だが、その他の主要な新興国ほどではない。

トランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2018年の「腐敗認識指数」によれば、180カ国中の順位は中国が87位。インドは78位だったが、ブラジルは105位、メキシコは市場関係者が「ワイルド・イースト」と呼ぶロシアと同じ138位だ。

また、東南アジア諸国は中国の製造業者による工場の設立によって恩恵を受けてきたが、それらの国も、腐敗度に関する評価は同様に低い。ベトナムは117位だ。

腐敗しているということは、事業を行うためには政治家や規制当局の関係者の賄賂の要求や、その他の強引なやり方に対応する必要があるということだ。

また、中国はインド、メキシコ、ブラジルに比べ、犯罪がはるかに少ない。駐在させる従業員の生活の質を考えれば、工場を建設するのが安全なのは中国ということになる。

・大気汚染

世界で最も大気汚染が深刻な10都市のうち、9 カ所はインドにある。中国の大気汚染も大きな問題だが、その他の新興国に比べれば、最も積極的に改善に向けて取り組んでいる。高速鉄道に投資しているほか、電気自動車の生産台数も最も多い。

さらに、中国政府は石炭の生産や火力発電に課税することで、化石燃料の使用量を削減しようとしている。先の長い取り組みではあるが、これらは全て、中国市場の関連分野でサービスを提供したい米企業にチャンスを与えている。

・電気料金

電力料金を気にする企業が事業を行うには、ブラジルやメキシコより電気代が安く、1キロワット時(kWh)当たりわずか0.08ドルで済む中国の方が適している。

──豊富な労働力、力の弱い労働組合、安定した通貨と政治、世界水準のロジスティクス、そしてより安全な場所であることが、中国をその他の新興国より望ましい進出先にしている。

編集=木内涼子

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