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5月フロリダにて、最低賃金上げデモを行うマクドナルド従業員 (Joe Raedle/by Getty Images)

左派の政治家と労働組合は、時給15ドル(約1590円)の最低賃金の実現を提唱する。人々が労働に対する公正な報酬を得られるようになるのは、良いことだろう。

だが、現実は幻想とは少し異なる。最低賃金が全米で導入されれば、平均的なファストフード店の従業員を待ち受けているのは、「時給15ドル以上で働く」か「解雇される」かのどちらかだ。

ロボットやアプリ、注文決済端末(キオスク)が時給15ドル未満で代わりに働いてくれる仕事をしている人たちは、解雇される可能性がある。最低賃金の導入という考え方が、ファストフード店の従業員にとってあまり意味がないかもしれない理由は、ここにある。

最低賃金を引き上げれば、企業にとって労働力はより高価なものになる。ある時点で、従業員の採用は資本やテクノロジーへの投資を上回るコストになるということだ。

ファストフード店にとっての資本は、レジ係に代わるアプリやキオスクだ。ハンバーガーのパテを焼いている途中で裏返したり、ピザを作ったり、清掃ができるロボットのことでもある。

経営コンサルティング会社A.T. カーニーのあるプリンシパルはこれについて、次のように説明する。

「キオスクの導入やキッチンの自動化、…配送の自動化などは、研究開発(R&D)サイクルのさまざまな段階に含まれるものであり、労働力に関する将来のリスクを軽減すると期待されているものだ」

ファストフード店もその他の事業者と同様、法令に従わなければならないことを考えれば、企業側が従業員に代わる新たな資本の導入を加速させようとするのは当然のことだ。テクノロジーは容易に、高度なスキルを必要としない定型業務に携わる従業員に取って代わることができる。

導入されたアプリやキオスクなどは、その他の従業員の生産性を向上させる。そして、生産性の向上は企業の増益につながる。従業員の賃上げも可能にするだろう。

仕事を奪われることがないのは、高度なスキルを身に付けた従業員たちだ。資本とテクノロジーがより効率的にこなすことが不可能な、複雑なタスクを担っている。

人間に求められる変化

フランチャイズチェーンの業務を支援する米ジェネレーション・ネクスト・フランチャイズ・ブランズ(Generation NEXT Franchise Brands)の創業者で最高経営責任者(CEO)のニック・イエーツは、特に食品・飲料業界について言えば、消費者の側にも順応すべき重要なことがあると指摘する。

「最も重要なことは、…自分でロボットとやり取りすることだ。ほとんどの企業が、顧客サービス戦略を支援する強力なツールとして、ロボットを採用しているからだ」

イエーツはまた、こうしたツールの導入によって今後、事業の運営・管理の方法も変化していくと考えている。

「素早く箱詰めをしたり、顧客の簡単な質問に答えたりしてくれるロボットを導入することで、経営者は活用すべき優れたスキルを身に付けた従業員を活かすためのより生産的かつ効率的な働き方を見つけることできる」

「生産性を向上させるロボットなどのツールは、企業の利益を増やすことに加え、従業員の新たな可能性とスキルへの扉を開くことにつながる」

編集=木内涼子

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