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2019.09.04

景気に敏感な自動車株は「買い時」? 日産などに割安感

Gettyimages

日産自動車やホンダ、フィアット・クライスラー、ダイムラーなどの自動車各社は、株価が簿価を下回る一方、配当利回りは高水準の状態が続いている。

例えば、米調査会社バリュー・ラインによれば、8月28日の日産の株価は簿価を51%下回った一方で、配当利回りは8.6%。ダイムラー株価は簿価より68%低く、配当利回りは6.8%だった。

自動車メーカーの株価が下落する背景には、何があるのだろうか?一つは、各社の売上高の減少だ。そしてもう一つは、(長期と短期の金利が逆転する)「逆イールド」の発生によって、差し迫っているとの見方が強まる米国の景気後退だ。

自動車の購入は裁量支出であり、非常に景気後退の影響を受けやすい。つまり、自動車業界にとっては今後、状況の悪化が予想されるということだ。

「破壊」が進む業界

米コロンビア大学の非常勤教授、マリオ・ゴンザレス・コルソによると、「米国の小型車とトラックの販売台数は、2018年には1727万台となり、前年の1725万台からわずかに増加。過去4年間の年間販売台数は、1700万台を超えていた。だが、今後は2022年までに30%減少すると見込まれている」。

また、金融情報ポータルサイト、インベスティング・ドットコムのアナリスト、クレメント・ティボーによれば、自動車業界は相次ぐ「破壊」によって打撃を受けており、各社の事業環境は舵取りが困難なものになっている。

米中の貿易戦争や環境規制の影響もある。ティボーは、「中国は貿易戦争と需要の減少の双方によって、自動車業界が抱える問題をさらに悪化させている」と語る。

「さらに、新たな排出量規制や各国が電気自動車(EV)以外の禁止の法制化を進めていることは、メーカー各社に方向転換を強いると同時に、それぞれの研究部門に打開策を見つけることを急がせている」

ティボーはその他、世界的に自動車業界をリードしてきたドイツのメーカーも、自国経済の失速に直面していることを指摘している。

一方、ゴンザレス・コルソは、こうした「破壊」が自動車業界に与える影響について、次のように説明する。
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編集=木内涼子

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