アメリカ北西部の最北に位置するワシントン州の州都、シアトル。今はアマゾン、スターバックスといった多くの世界的企業がひしめく、アメリカでももっとも成長著しい街である。
アマゾン ジャパン立ち上げメンバーの一人である筆者が、日本経営合理化協会主催の「シアトルイノベーションツアー」団長としてこの地を訪れたのは、令和元年を迎えたこの6月のことだった。
第1回「専用機で運ばれるアマゾン プライム会員向け貨物」に続き、今回はシアトル訪問3日目、ツアー前半の山場とも言うべき「アマゾン・デイ」についてレポートしよう。
「アマゾン・デイ」は、その名の通り、朝から晩までどっぷり、「アマゾン漬け」の1日である。
スペシャルゲストとしてかつて「ワールドワイドオペレーションズ・アンド・カスタマーサービス(世界全ロケールで、オペレーション部門と顧客対応部門を総括する部署)」のHRヴァイスプレジデント(人事責任者)を長年務められたデイブ・二カーク氏にお越しいただき、創業の頃からのアマゾンの成長の軌跡を辿る旅となった。
最初に訪れたのは、アマゾン初の本格的な本社ビルとなった「パックメッド」ビルディングだ。アマゾンはジェフ・ベゾス自宅ガレージを倉庫代わりに使って創業したというのは有名な話だが、その後の急速な拡大に伴い、シアトルダウンタウン中に散らばっていたオフィスを一つに集めることを目的に移転した場所となる。
元々は海軍の病院(Pacific Medical Center)を改装したビルで、丘の上にそびえる城のような印象で、シアトルダウンタウンを見下ろす最高のロケーションである。
最上階の会議室からはシアトルダウンタウンが見下ろせる。その最上階の会議室からはダウンタウンが見下ろせ、あたかもシアトルの街の王者として君臨しているかのような錯覚に襲われる。おそらく当時のアマゾンの幹部社員たちはこの光景を眼下に、様々なビジネスを企画していったのだろう。
玄関を入るとすぐに、いくつかの絵画が飾ってある部屋がある。ルーズベルト大統領で有名なニューディール政策時に、政府が地元のアーティストから買った絵画とのこと。日本であれば無駄遣いとすぐにたたかれそうな施策であるが、アメリカでは国が、公共投資をこのような絵画にも施していたことに驚きを感じた。とかく「建設」一辺倒な日本の公共事業施策にも、このような遊び心があると素敵だなと感じた。
ルーズベルト大統領で有名なニューディール政策時に、政府が地元のアーティストから買ったという絵画