米企業にとっての問題は、貿易戦争だ。彼らは我慢の限界に達している。首都ワシントンにあるPwCのプリンシパル(税務・貿易政策が専門)、スコット・マッカンドレスはこの点について、次のように述べている。
「私たちが話を聞いた企業は、資本へのアクセスは問題ではないと言っている。そのため、連邦準備理事会(FRB)がさらに利下げを行ったとしても、どれだけ効果的か分からない。貿易問題を巡る不確実性を理由に、企業は投資を行っていない」
農家を代表するロビー団体やその他の人々は、ドナルド・トランプ大統領が中国に対する関税を引き上げたことで、事業に悪影響が出ていると訴えている。
中国からの輸入品に対する関税は、9月1日と12月15日に再び引き上げられる予定だ。それにより、中国からの輸入品全てに、最大で30%の関税が課せられることになる。
一方、中国はこれに対する報復祖措置として、約750億ドル(約7兆9330億円)相当の米国からの輸入品に5~10%の追加関税をかける。また、12月15日からは米国製の自動車と自動車部品に対するそれぞれ25%、5%の追加関税を復活させる。
対応の必要性では同意
米企業は、中国との貿易戦争を好ましくないものと捉えている。だが、中国の重商主義に対して何らかの行動を取らなければならないという考えについては、全ての企業がある程度において同意している。
中国の自国企業に対する補助金制度は製品の供給過剰を招き、世界的な物価の下落につながると指摘されている。また、中国の市場規模は全ての企業にとって魅力的だが、進出するには現地に拠点を置く必要がある。拠点を移せば、米企業は地元の製造業と労働市場を多大なリスクにさらすことにもなり得る。
さらに、中国の製造パートナーが米企業から多くを学んだ後に独立し、ライバルとなることも、以前から懸念されてきたことだ。
トランプが制裁関税の対象に2000億ドル相当の輸入品を追加してからちょうど1年を迎えようとする中、米企業は様子見の態度を維持するか、サプライチェーンの再構築に本腰を入れるかの決断を迫られている。
マッカンドレスによれば、「誰もが不満を募らせ、何らかの行動を取らなければと考えている」。