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Getty Images

有楽町・阪急メンズ東京にて、ディオール史上世界初となるメンズ ビューティ カウンターが7月にオープンした。特筆すべきは、フレグランスやスキンケアのみならず、メイクアップにも力を入れているという点にある。

これまでも、伊勢丹メンズ館や阪急メンズ東京を中心に、洗顔フォーム、化粧水、乳液といった高級スキンケアが、意識の高いビジネスパーソンを中心に支持を集めてきた。ネイルケアをしている人も珍しくなくなっている。そこがさらに進化して、ファンデーションやアイライナーを使ってメイクを施す時代がきているのだ。

実際、ディオール(ディオールバックステージ)のみならず、シャネル(ボーイ ドゥ シャネル)や、国内人気メーカーのアクロ(ファイブズム×スリー)など、大手メーカーから続々とメンズのラインが登場している。

韓国や中国の若者がシーンをリード

現在、メンズのメイクアップに関してはふたつの流れがある。ひとつは、顔にもタトゥーが入っているようなUSラッパーが派手なネイルをしていたり、韓国のK-POPシンガーがファンデーションで美しく肌を整え、赤いリップをするといったアーティスト系の魅せるメイク。もうひとつは、ビジネスパーソンがより印象を高めるために、クマやシミを隠し、肌色を明るく健康的に見せるナチュラルメイク。そのふたつが同時進行していることは、時代の追い風になっていると言えるだろう。

ふたつの流れを加味して考えると、韓国や中国の若者たちが真っ先に思い浮かぶ。旧世代とは異なるスタイルを誇示し、自撮り文化も旺盛な彼らはメイクにも抵抗がない。実際、シャネルから発売されたメンズ専用コスメ「ボーイ ドゥ シャネル」は、昨年9月に韓国から発売を開始し、11月に日本が続き、現在もアジア圏のみで展開している。そんな状況下で、ディオールはなぜ、世界初のメンズ ビューティ カウンターを日本からスタートしたのだろう。

「確かに国内のメンズ・メイクアップ市場は、韓国や中国に比べて大きくはないと思います。しかし、日本は化粧品の歴史が長く、消費者の目が厳しいことは世界的に知られています。弊社はメンズ・メイクアップを文化として根付かせるために、日本から本格始動ししたといえます」と同社の広報は語る。

抵抗感をいかに取り除くかがカギ

歴史を振り返ると、資生堂が「メンズギア メンズマスク」を発売したのが1986年。顔を真っ黒にパックした陣内孝則のCMを覚えている人も多いだろう。1990年代には高校生のバッグに香水が必ず入っていたほどのフレグランスブーム。2000年代には高校時代のダルビッシュ選手に象徴されるような眉剃りブームなど、どの世代にもビューティに関するトレンドはあった。また、子どもの頃から日焼け止めクリームを塗っている現在の若者は、何かしらの肌ケアが当然になっている。スポーツの分野おいても、クリスティアーノ・ロナウドがスターの時代であり、ビューティは身だしなみと捉える傾向にある。

そう考えると、「記者発表会があるから」「プレゼンのため」「大事な商談だから」といった言い訳(理由)を用意してあげれば、世代関係なくメイクアップを始めることに抵抗はないかもしれない。

「年齢は関係ないんです。身だしなみに関心のある層は、どの世代にも一定層います。ですから、私たちはターゲットを決めていません」とは、ファイブイズム×スリーの広報。

欧米でもハイクラスなビジネスパーソンはすでにメイクアップを取り入れていると聞く。英国では、男性の約5%が日常的に化粧をしているという話も。しかし、マッチョイズムな意識が強いため、より幅広い層にリーチするのはアジア圏だろう。日本は、「女子高生の匂いをまとえる」というボディソープ、デオコが人気になる国でもある。とはいえ、各社まだ手探り状態で、数字的なデータも乏しい。

メーカーからすれば、メンズもメイクをしてくれれば売り上げは単純に2倍となる。また、凝り性の多い男性が本格的に志せばギア関連の商材が爆発することが予想される。

とはいえ、ファンデーションに行き着くまでは、洗顔、化粧水、乳液といった前工程はマストになる。また、一度クマやシミを隠した自分が標準化すると、恥ずかしくてメイクなしでは外出したくなくなる。しかし、健康的な肌は若さを生み、自信が持てるようになるというプラスの側面もある。

メンズメイクの歴史は始まったばかり。これが一般化するかは、若者およびハイクラスのビジネスパーソン以外にも普及するかが、大きなポイントになりそうだ。

文=冨山英三郎

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