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ビビッドガーデン代表取締役社長 秋元里奈

「こだわりのおいしい野菜をつくっているのに、なぜ農家は儲からないのだろう」。

2017年にサービスを開始した「食べチョク」は、ビビッドガーデン代表・秋元里奈のそんな疑問から始まった。

「食べチョク」は、有機栽培をはじめとした、品質にこだわりのある生産者が自由に出店できるオンライン・マルシェ。安全でおいしい野菜やコメ、果物、肉や魚介類などを消費者が小売りや問屋を通さずに直接購入できるプラットフォームだ。生産者のこだわりが適正に価格に反映される新しい流通の仕組みを提供している。

Forbes JAPANでは、そんな日本の生産者が「正しく儲かる」農業ビジネスの仕組みづくりに奮闘する秋元を、「世界を変える30歳未満の30人」を表彰する30 UNDER 30 JAPAN 2019フード部門のひとりとして選出した。



いまでは「農業を自分の一生の仕事にする」と決め、「プライベートはほとんどなくても、いまの仕事が最高に幸せ」と言い切る秋元。だが、学生時代からずっと「人生を賭けてやりたいことがないのがコンプレックスだった」という。

秋元を突き動かしたものとはいったい何だったのか。彼女が描く未来とは?

大好きだった農業は「儲からないからやめろ」と言われた

「食べチョク」を運営するビビッドガーデン代表の秋元は、祖父の代まで農家の実家で育った。子どものころは、四季折々の新鮮な野菜を食べ、広い畑は遊び場。相模原という比較的都会の中にある畑だったこともあり、近隣の小学生たちが農業体験のために訪れたりすることが誇らしく、畑も農業も好きだった。

しかし、将来を考えるようになると、家族からこう言われた。

「農業は儲からない。農業なんてやらずに公務員になれ」

そのときは「そういうものか」と深く考えなかったが、この「農業は儲からない」という言葉が、のちに秋元を農業スタートアップ立ち上げへと駆り立てる原点となった。

「学生時代から、自分が一生を賭けてやりたいと思うことを見つけられなかった。それがずっとコンプレックスだったんです。それは就職してからも同じ。人から言われたことは土日返上でも死ぬ気で頑張ることができるのに、なぜか自分の中から自発的に湧き上がるような『やりたいこと』をずっと見つけることができずに悩んでいました」

いったん農業を忘れた秋元が、慶應義塾大学理工学部で学んだのは「金融工学」。企業価値の測定やリスクマネジメントなど、金融機関が現場で使う方程式などを解明する学問だ。卒論のタイトルは「経営者たちの自信過剰が投資結果に及ぼす影響」だった。

就職活動は、証券会社や日銀など金融中心に行い、本命は東証だった。が、ふいに思わぬ方向転換をすることとなる。

文=松崎美和子、ふくだりょうこ 写真=伊藤 圭

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