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2019.08.20

米ミレニアル世代を魅了したいケイト・スペード、戦略は適切か?

Gettyimages

コーチとケイト・スペード、スチュアート・ワイツマンの3ブランドを傘下に持つ米タペストリーは8月15日、2019年第4四半期(4~6月)と通期の決算を発表。業績が好調であることを明らかにした。

だが、誰もが注目していたのは、ケイト・スペード既存店の売上高だ。同ブランドの通期の売上高は、新規出店と各国市場への進出のおかげで前年同期比6.4%増加。13億7000万ドル(約1460億円)となった。一方、既存店売上高は第4四半期、同6%減少。通期では7%のマイナスとなった。さらに、2020年第1四半期にはより大幅な減少を見込んでいるという。

タペストリーはケイト・スペードの先行きが不透明なことを受け、同ブランドの2020年度の出店計画について、年間で30~40店舗に減らす方針を発表した。2019年度は北米の13店舗を合わせ、世界全体で65店舗を新設。総店舗数を407としていた。

紆余曲折を経たブランド

創業者であるケイト・スペードの名を冠した「ケイト・スペード ニューヨーク」は1999年、株式の56%を米百貨店ニーマン・マーカスに売却。その後、2006年に残る株式の全てを同百貨店に譲渡した。ニーマン・マーカスはこれらに総額9300万ドルを費やしたとされている。

ニーマン・マーカスは全株式を取得すると間もなく、当時、積極的にブランドの買収を進めていたアパレル大手、リズ・クレイボーンに1億2400万ドルでケイト・スペードを売却した。

リズ・クレイボーンは事業に関していくつもの失敗を繰り返した後、2012年に名称をフィフス&パシフィック(Fifth & Pacific)に変更。ケイト・スペードを含む3ブランドのみの運営に集中することとした。だが、2015年にはケイト・スペード以外の2ブランドを手放している。

ケイト・スペードは2017年、当時のコーチ(現在のタペストリー)に24億ドルで買収された。このときには、買収にあたっての評価額が高すぎると指摘された。ケイト・スペードは米国以外にほとんど出店しておらず、店舗数は271だった。
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編集=木内涼子

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