アップルは今後、ソフトウェアやサービス部門に注力すると宣言したが、顧客にサービスを利用してもらうためには、ハードウェアの顧客基盤が必要だ。
中国におけるiPhoneの出荷台数が急落したことは以前に報じられたが、調査企業カナリスの最新レポートで、欧州におけるiPhoneの市場シェアが前年比で17%の下落となったことが明らかになった。ニュースサイト9to5Macは次のように報じている。
「iPhoneの欧州での出荷台数は2018年第2四半期に770万台だったが、今年の第2四半期に640万台に減少した。出荷台数は17%の下落で、欧州でのiPhoneの市場シェアは過去1年間で17%から14.1%にまで下落した」
欧州のシェア1位はサムスンで40.6%、2位がファーウェイで18.8%。3位のアップルに続く4位がシャオミで9.6%、5位がHMD Globalで2.7%だった。
アップルが7月30日発表の2019年第3四半期(4~6月)決算では、「iPhoneの売上がアップル全体の売上の50%を切った」ことが示された。iPhoneの売上高は前年同期比で11.8%減の259億8600万ドル(約2.7兆円)だった。
サービス部門の売上は114億5500万ドルで、前年同期比12.6%増だったが、全体売上は前年から低下していた。これは、アップルの悪夢の始まりを告げるデータといえる。
ソフトウェアやサービスの売上を増加させるためには、iPhoneの台数を伸ばすことが必須となる。iPhoneの売上減少が続けば、アップルは重大な局面を迎えることになる。
新型端末をアピールするためには、競合メーカーの製品にはない魅力をアピールすることが必要だ。しかし、2019年の新型iPhoneは5Gに非対応で、以前と変わらぬ不格好なノッチを搭載し、バッテリーの持続時間もアンドロイド端末には及ばない。
さらに8月8日から米国で開催されたハッカーの祭典「Def Con」では、iPhoneのセキュリティが完璧ではないことが示された。
iPhoneの出荷台数の減少は、スマホの売上減少につながるだけでなく、アップルのソフトウェアやサービス部門の売上も低下させることになる。サービス部門の勢いが止まれば、アップル全体の売上が今後も縮小することになる。
今年のiPhoneが期待はずれの端末になることは確実であり、iPhone Xから続く下落トレンドから抜け出すことは難しい。アップルは今後、崖から転げ落ちるような悪夢に直面する可能性もある。
スティーブ・ジョブズが築きあげたアップルの魔法のオーラが消え去らないうちに、ティム・クックのサービス部門への賭けが、功を奏することを期待したい。