操縦士さえも例外ではない。デルタ航空の操縦士は先日、フルボトルのアルコールを所持していたことで、全員が搭乗を済ませた航空機から降ろされている。
そこで、欧州の航空業界は、機内で攻撃的な振る舞いをする乗客に対処する新たなキャンペーンを開始した。
欧州連合(EU)の欧州航空安全機関(EASA)によると、手に負えない乗客がフライト中に混乱を巻き起こすケースはEU内で3時間に1件起きている。そのうち72%には「何らかの攻撃的な行動が含まれている」とのことだ。また同機関は、こうした状況がエスカレートして緊急着陸を余儀なくされることが1カ月に1度あるとしている。問題が報告される件数は、2017~18年の間に38%増えている。
この結果を受け、EASAは英民間航空局(CAA)や国際航空運送協会(IATA)など複数の機関と協力し、規則に従わない乗客を対象とした「Not on my flight(私の便ではやめて)」と題したキャンペーンを開始。エールフランス航空やKLMオランダ航空、トーマス・クック航空、ライアンエアーなど欧州の多くの航空会社がこの運動に加わっている。
同キャンペーンでは規則に従わない行動を、フライト前やフライト中の過度な飲酒、フライト前やフライト中の薬物の使用やアルコールと混ぜる行為、乗務員の指示に従わないこと、乗務員に対する言葉や身体的な暴力、あるいは乗組員の業務を妨げる行為と定義されている。
こうした基準は一部、少し漠然としているように思えるかもしれない。氷を求める注文が多い乗客も、乗務員の業務を妨げていると主張できる可能性があるからだ。しかし、乗客のスペースがますます小さくなり、航空会社が効率性や利益幅の最大化に関心を寄せる現代において、このキャンペーンは現在進行中の問題に対する航空業界の興味深い反応を示している。