完璧主義と密接に関連している「インポスター(詐欺師)症候群」になると、自分が現在のポジションにはふさわしくない人間のように感じられ、仕事から満足感を得ることができなくなる。
さらに、ヒューストン大学の研究チームが先ごろ発表した研究結果によれば、インポスター症候群は家庭生活に関する満足度や、ワークライフバランスの問題にも影響を与えているとみられる(現時点では査読システムを取り入れているジャーナルに掲載されていないため、結果は暫定的なものとみる必要がある)。
研究チームは、インポスター症候群の人たちがどのように家庭生活を送り、仕事をしているかについて、またこれらのバランスをどのように取っているかについて、450人を対象に調査を行った(当然ながら、仕事に関してこうした感情を持つ人は、より高い地位に就いていることが多い)。
調査では、インポスター症候群に特徴的な「自分は偽物である」という気持ちがあるかなどについても調べた。その結果、自分を「詐欺師」のように感じている人ほど、極度の疲労を感じて(燃え尽きて)おり、職場と家庭での役割のどちらにも問題を抱え、満足度も低下しているとみられることが分かった。
ワークライフバランスに問題があると考えていることは、必ずしも仕事に関する満足感の低下とは関連していなかった。だが、感情的な疲労とは関連があるとみられている。
研究論文の著者は、「優れた人材が感情的に疲れ果て、家庭と職場での要求に応え続けるために苦しんでいる。結果が示すのは、企業がインポスター症候群を人材開発における重要な問題と捉えるのが妥当だということだ」と述べている。特に潜在能力の高い従業員には注意を払うべきだという。
女性特有の症状ではない
過去の複数の研究から、米国の労働者の約70%がインポスター症候群を経験しているとみられている。「インポスター症候群」という言葉はもともと、働く女性に現れる症状に使われていた。だが、現在では男女ともに経験するものであることが分かっている。