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米国のドナルド・トランプ大統領は先日、暴力的なビデオゲームと米国で頻発する銃乱射事件の関連性を指摘したが、ゲーム業界からは強い反発の声があがっている。トランプは8月5日にテレビ中継された演説で、テキサス州エルパソとオハイオ州デイトンで発生した銃乱射事件にふれ、若者が暴力に走る原因の1つがゲームだと指摘した。

彼によると、ゲームは暴力を美化しており、暴力表現を大幅に削減する必要があるという。共和党のケビン・マッカーシーも暴力的なビデオゲームと銃乱射事件の関わりを指摘した。

エルパソの銃乱射事件の犯人は、犯行直前に8chanで自身の政治思想を明かし、移民への嫌悪感と共に、人気のシューティングゲーム「コール オブ デューティ」に触発されていることを示唆していた。

人気アクションゲーム「Red Dead Redemption」のパブリッシャーのTake-TwoのCEOを務めるStrauss Zelnickは声明で「政治家がビデオゲームを凶悪犯罪の原因とするのは無責任だ」と述べた。「世界の国々で娯楽としてゲームが楽しまれているが、銃乱射事件は米国でしか起きていない」とZelnickは指摘した。

トランプの5日の発言以降、コール オブ デューティの発売元のアクティビジョン・ブリザードなど、ゲーム業界の大手企業の株価は下落した。

ロサンゼルス・タイムズは8月6日、ゲーム産業の業界団体ESA(エンターテインメントソフトウェア協会)の声明を取り上げた。「1億6500万人以上の米国人がビデオゲームを楽しんでおり、世界で数十億人の人々がプレイしている。しかし、ゲームの利用が盛んな海外の国々で、米国のような悲劇的事態は起きていない」とESAは述べている。

米国で銃乱射事件とビデオゲームの関連が指摘されるようになったのは、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件の発生以降だ。この事件の主犯格の少年2人は、シューティングゲームの「Doom」を楽しんでおり、ゲーム内では血が飛び散る残虐なシーンが多かった。

専門家の間からはビデオゲームと凶悪犯罪の間に相関関係は認められないとの指摘が相次いだが、その後もゲームに対する偏見は根強い。2017年にはアメリカ心理学会が声明で、政治家やジャーナリストに対し、ビデオゲームと銃乱射事件事件を関連づけないように求めていた。

編集=上田裕資

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