しかしもちろん、VC業界に欠点がないというわけではない。おそらく最も大きな欠点は、「ブロ(bro)」文化と呼ばれる男性中心的な環境だろう。VCのウェブサイトを見れば、パートナーの大半が白人男性であることが分かる。それを見るだけでも分かる問題だ。
ベイラ・ベンチャーズ(Bayla Ventures)の創設者で、黎明期のセールスフォース・ドットコムでプロダクトマネージャーを務めたジュディ・ローアは、「進歩は十分な速さで起きておらず、シリコンバレーでの評価は未だに不釣り合いに男性へと傾いている」と述べる。
しかし希望の光はある。この文化が世間の目にさらされる機会が増えており、それにより一定の変化が起きているのだ。
その良い例が、ジュリアン・ガスリーによる素晴らしい著書『Alpha Girls: The Women Upstarts Who Took On Silicon Valley’s Male Culture and Made the Deals of a Lifetime(アルファガールズ シリコンバレーの男性文化に挑み、一生に一度の取引を成立させた新参女性たち)』だ。同著では、メアリー・ジェーン(MJ)・エルモア(VC企業の最初のパートナーのひとり)、ソーニャ・ホエル、マグダレーナ・イェシル、テリーサ・ガウという4人のトップ女性ベンチャーキャピタリストの成功と奮闘の物語を紹介している。
彼女たちはしばしば、オフィスで唯一の女性だったが、それでも大きな変化をもたらした。4人は、セールスフォース・ドットコム、フェイスブック、不動産サイトのトゥルーリア(Trulia)といった企業の出資で大きな役割を果たしたのだ。
同著で紹介されているエピソードの中には、恐ろしいものもある。1980年代に半導体メーカーのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)で勤務していたマグダレーナが出席したある営業会議では、娯楽としてトップレスの女性が登場し、性行為をしたのだという。声をあげればすぐに解雇される可能性もあったが、マグダレーナは当時の最高経営責任者(CEO)、ジェリー・サンダースにこの問題を直訴した。
とはいえ、他に紹介されているエピソードの多くは微妙な問題であり、同著が扱っている内容は、男性に対する期待が女性と大きく異なる文化についてのものだ。例えば次のようなエピソードがある。