また、コストも大きな利点だ。多くの第三者配送業者は15~30%の手数料を徴収している。そのためバッシュは、まだ現時点では完全には分からないものの、ドローン配送の方が「顕著に安くなる」と考えている。
「こうした手数料は労働に充てられるため非常に高くなる。私たちのシステムでは、ドローンを使って1人の人間が実行できる配送数は車や自転車を使ってできる配送数よりはるかに多い」(バッシュ)
また、レストラン企業がドローンの飛ばし方を学ぶことは期待されていない。このスキルは、ウーバーイーツで働く運転手と同様、サービスの一部だからだ。
とはいえ、ドローン配送が公式に規制されるようになった時点で、レストランがすぐにドローン配送に切り替えるわけではない。多くの企業は、利益を圧迫したり作業でミスを犯したりすることなく車を使ったデリバリーを導入する最適な方法をいまだに探しているからだ。
また、ドローンを使う上で解決すべき細かい点もまだ多い。フライトレックスの宅配では、食品をフックにかけてドローンを飛ばし、目的地で荷物を降ろすことになっているが、レストランの従業員がどのように関与するのか(あるいは全く関与しないのか)などはまだ不明だ。
またバッシュは、気候条件がこれまでで最大の問題だと述べている。「私たちは現在、大雨のような厳しい気候条件でドローンを飛ばすことができない」とバッシュ。「しかし、この問題の解決のため、技術は急速に進化している」
ドローン配送は、新しい技術ではない。フライトレックスの2017年の飛行に加え、米宅配ビザチェーンのドミノ・ピザはニュージーランドで2016年、ドローンを使ったピザの配達を行なっている。また米ピザチェーンのパイオロジー(Pieology)も昨年、ドローン配送に乗り出している。
こうした実験が行われフードデリバリーに関する議論が拡大したにもかかわらず、ドローン飛行に関する規制基準はまだ制定されておらず、ドローン配送は停滞気味だ。
しかしこれも、FAAが来年フライテックスなどの企業から、空の最適な共有方法やドローンの衝突を避ける方法などに関する見識を得れば大きく変化するはずだ。バッシュは、FAAが2020年末までにドローン配送規則を導入し、ドローン配送が本格的に稼働することを期待している。
「FAAとの協働している経験から、同局がドローン配送に多くの時間とリソースをつぎ込んでいることを断言できる」とバッシュ。「アマゾンのような企業がドローン配送に取り組み始める中、この分野は急速に進歩するだろう。その一部になれることをうれしく思っている」