米中部につくる「バイオベルト」、地方活性化と経済成長を実現か?

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米国では、牛肉を使わないハンバーガーが大人気だ。今年5月に新規株式公開(IPO)を果たした代替肉メーカー、米ビヨンド・ミートの株価は取引初日、163%値上がりした。競合するインポッシブル・フーズも同月、新たに3億ドル(約325億円)を調達したと発表した。

これらは、(両社が拠点を置く)カリフォルニア州にとっては素晴らしいことだ。だが、米国の地方は苦境に陥っている。伝統的な仕事がテクノロジーによって奪われる中、人間よりも家畜の数の方が多いような地域では、ハイテク・ビジネスに必要なスキルを身に付けるために学ぶことさえ難しい。

そして、米国の若者たちはそのことを知っている。農務省の経済研究局の報告書によれば、非首都圏のコミュニティーでは移住してくる退職者が増加すると同時に、新たに労働力となる年齢の人口が減少している。米国の人口のうち、地方には人口の14%が暮らしているが、雇用は2013年以降、わずか4%しか増加していない。

バイオテクノロジーへの期待

だが、適切な戦略的投資を行えば、地方でバイオテクノロジー産業を“開花”させることは可能かもしれない。筆者は、新しいスキルと高給の仕事を切実に必要としている米中部に、「バイオベルト」をつくることを提案したい。

テクノロジーの進歩により、バイオ医薬品からバイオマテリアル(生体材料)まで、高価値の新たな製品をつくり、事業を成長させていくことはかつてないほどに容易になっている。そして、地方には今も、肥沃な土地がある。

「バイオベルト」で生産されることになるのは、バイオ燃料だけではない。糖やその他のバイオマスを付加価値のある商品に変える、発酵を利用した技術も増えている。

持続可能な収入源を生み出すことを目指すこの取り組みは、バイオテクノロジー関連の研修や教育をはじめ、インフラや起業への投資を増やすことにもなるだろう。その他の関連事業と同様に、学界と産業界との戦略的パートナーシップも必要となる。

この分野で働くために必要なスキルを持った人材とのパイプラインとなるコミュニティカレッジや、地元企業との協力もまた、成功の鍵を握るものになるだろう。政府はこうしたパートナーシップに対する奨励策を整備する必要がある。
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編集=木内涼子

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