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ロボットやIoTの専門メディア「ロボティア」代表

shutterstock.com

先月末、中国のIT大手・テンセントが運営するAIキャラクターが、中国共産党を批判。ユーザーの質問に対して、「(共産党は)腐敗して無能」「(共産党を)愛していない」「(中国の夢は)アメリカに移住すること」などと回答する“ハプニング”が起きた。

AIが政治批判ともとれる発言を始めたことに、ネットは大盛り上がり。ユーザーからは「AIが蜂起した」「国家転覆をはかっている」などの声が挙がり、騒ぎが大きくなることを案じたテンセント側は、7月30日に同AIキャラクターサービスを停止する状況に追い込まれた。

日本ではNHKやテレビ朝日など主要メディアも報じた同ハプニングだが、冷静に見れば、“AI絡みの珍事件”の範疇を超えないだろう。過去には中国以外でも、AIチャットボットが特定の独裁者を擁護したり、人種差別的な発言を繰り返して利用中断となる事態がたびたび起こっている。

チャットボットAIは、人間の書き込みなどを学習して性能を向上させる。そのため、時折、「特定の思想を持っている」かのように見えてしまうことがある。実際はそうではないのにもかかわらず、である。思うに、権力者にとって、また一般ユーザーにとって本当に怖いのは、AIを駆使して「共感している人がまるでたくさんいる」かのように、一定の思想・言論を大量に生み出さんとする“人間”が現れることだろう。

ところで、政治とAIという領域では興味深い話題がある。それは、AIの世界的権威であり、人工知能のオープンソースフレームワークを構築するプロジェクト「OpenCog Foundation」の会長を務めるBen Goertzel氏が、政治的判断を下すAIを開発しているというものだ。

Goertzel氏は、人工知能には偏見や私利私欲がないため、今後、政治の舞台で公正な意思決定を下す用途で使われはじめるだろうと予言している。実際、Goertzel氏らは、3年ほど前から社会的・政治的な意思決定を合理的に行えるAI「ロバマ(ROBAMA)」の開発に注力している。ロバマというネーミングは、ロボットと米バラク・オバマ大統領の名前を合わせたもの。裏に「ロボット大統領」という意味が含まれている。

海外メディアの取材に答えたGoertzel氏は、政治に人工知能の介入が必要な理由について、次のように述べた。

「国民を代表して、社会的、政治的な意思決定を下す彼ら(政治家や官僚)は、専門知識が不足していたり、私利私欲に陥って誤った判断を繰り返している。ロバマはSNSやインターネットにアップされた膨大な情報を1分以内に分析し、世論を反映した政策をリアルタイムで提示すことができる。完成すれば、腐敗がない社会・政治的革命を成し遂げられるだろう」

なおGoertzel氏は、2025年までに政治的意思決定を完全に下せる「汎用人工知能」としてブラッシュアップさせるべく、ロバマの開発を続けているという。

人間の心理や社会的状況を把握したAIが実際に登場するのか、またそれが政治の舞台に登場するかはまだまだ未知数だ。技術的にも、また人間の感情的にもAIの政治進出にはまだまだ壁があるだろう。ただ、冒頭に登場したような政治に「いちゃもん」をつけるだけのAIよりは、未来における活躍が気になるところだ。

日本のとあるAI研究者のひとりはこんなことを話していた。

「政治判断をAIにまかせるのは、国民の“理”にも“利”にも適っていることだと思いますよ。むしろ、法律や政策など膨大なデータを学習しつつ、合理的かつ公正な判断が必要な政治にこそ、人工知能の強みが発揮できると思います。AI政治家、もしくはAI官僚が登場する日はそう遠くないのでは」

政治にAIが介入する日は訪れるのだろうか?

文=河鐘基

 

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