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培養肉の販売を検討している企業に「警告」が発せられた。研究室の中で細胞組織からつくる新種のタンパク質は、「GMO(遺伝子組み換え作物)」と同じ運命をたどることになるのかもしれない。

オープンアクセス・ジャーナル「フロンティアズ・イン・ニュートリション(Frontiers in Nutrition)」に先ごろ掲載された論文によると、「ハイテクのイノベーション」によるものとして培養肉を知った人は、否定的な見方をすることが多いという。

培養肉に関する報道は、シャーレの中からサーロインステーキをつくり出すという称賛すべき技術にばかり目が向けられがちだ。だが、論文の著者らによれば、培養肉の生産者やそれを支持する人たちにとっては、それが問題なのだ。

筆頭著者である英バース大学の研究員、クリス・ブライアントは、メディアのそうした態度はそれほど驚くべきものではなく、シャーレでつくる肉が工学による驚異であるからこそ、ニュースとしての価値があるためだと指摘する。

一方、そうした報道のおかげで、培養肉が世間の支持を得られなくなる可能性があることは確かだという。ブライアントは、「支持者や生産者は、説明の仕方について考える必要がある」と忠告する。

「分からないもの」は敬遠される

細胞農業の研究と培養肉などの生産を支援する米国の研究機関、ニュー・ハーベスト(New Harvest)によれば、培養肉を研究する科学者たちは基本的に、細胞組織工学を専門とするエンジニアだ。

彼らの研究の詳しい内容は、ブライアントのような「ハイテク好き」たちを魅了するかもしれないが、一般の消費者にとっては興味を失う原因になる。

GM食品に関する報道については、科学的、または経済的な側面を強調する傾向があったとされている。収穫量の面で農家が受ける恩恵や、農薬の使用量が削減できることなどについては、あまり取り上げられなかった。

また、一部の評論家によると、遺伝子工学については同じ報道機関でも、医学に関しては肯定的に、食物に関してはより否定的に報じてきたという。

さらに、「GMO」という呼び方にも問題があったとされている。「遺伝子組み換え」ではなく「GMO」と呼ぶことで、不気味で分かりにくいもののように受け止められたというのだ。

編集=木内涼子

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