ビジネス

2019.07.03

『手打ち生パスタ』で年商5億5000万円。フォーブス・イタリア「100 Under 30」の2人組、快挙の理由

左から、フィリッポ・モットレーゼ、アルベルト・カルタセーニャ。Miscusi(ミスクーズィ)共同創業者。(Courtesy Miscusi)





ベンチャーキャピタルから受けた投資は6億円超

「ミスクーズィ」の夢は、前述の「Rocket Internet」の創業者アレグザンダー・サムワーはじめ、彼らのプロジェクトを信じたエンジェル投資家たちの支援もあって現実となった。

立ち上げからわずか20カ月で、彼らはベンチャーキャピタル「Milano Investment Partners」のアンカー投資家、アンジェロ・モラッティから500万ユーロ(6億1300万円)という大きな出資を受けることとなった。また、今後数カ月以内には、相当な額の増資を予定している。

「出資者を見つけるのはそれほど難しくはなかったです。たぶん、はじめのうちは、オフラインビジネスのポテンシャルを説明するのに少し苦労しましたね。なんたって今はテクノロジーとデジタル技術に世界中が強くフォーカスしていますから。

でも、たとえばぼくらのようなスタートアップ企業のほうが、デジタル技術に強い多くの企業に比べて、ユニコーン企業になる可能性はずっと高いんじゃないでしょうか。それに、優れた投資家はそれを知っています。実際のところ、2年で売上げ1千万ユーロに到達できるハイテクに特化したスタートアップ企業はほんのわずかです」

オフライン小売ビジネスにフォーカスする企業ではあるが、「ミスクーズィ」も、将来的にはデジタル技術を避けては通れない。しかし、「ぼくらが目指すのは、オムニチャネル、あらゆる販売チャネルの統合です。つまり、顧客体験はオンラインで始まり、実店舗で終わるべきなんです。顧客にはその過程を『旅してもらう』んです」。

フィリッポはハイブランドの「グッチ」からもビジネスのヒントを得ている、と言う。

「ぼくらがグッチからヒントをもらっているなんて言ったら軽率に聞こえるかもしれませんけど、でも、ぼくらは確実に、フード界からファッション界まで見回して、世界の小売業界のまさに最良な例を参考にしているんです」

いずれにしても、プロジェクトはここでは終わらない。デリバリーサービスの改良に加え、今は自宅で調理できるパスタボックスの販売も検討中だ。「ミスクーズィ」のレストランでいつでも受けられる温かいもてなしだけでなく、カスタマーが文字通りの「わが家」で手打ち生パスタの伝統を再体験する楽しみも、もうすぐそこまで来ている。

翻訳=大村紘代 編集=石井節子 写真=Forbes Italia提供

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