アンダーアーマーが疲労回復を促すシューズ開発へ、米で特許出願

2018年に発売したランニングシューズ「HOVR」(C) Under Armour

米スポーツ用品メーカーのアンダーアーマーは、これまでにも「スマートな」ウェアの開発に力を入れてきた。その同社が現在、ランニングシューズに取り入れることを目指した新技術の開発を進めていることが分かった。

ボルチモア・ビジネス・ジャーナルが6月25日に報じたところによれば、同社が米特許商標庁に申請したのは、ランニング中にユーザーの血圧を計測するための技術に関する特許。より短時間での疲労回復の支援を目的とした技術だ。

提出された書類によると、アンダーアーマーが開発を目指す技術は、2通りの用途が検討されている。1つはウェアラブル端末のフィットビットと同様にユーザーの血圧を計測できる装置と接続することで、計測された数値に応じて靴底を調整。足裏の特定の部分から脚への血流を促すというもの。もう1つは、シューズの靴底に「血圧測定器」を組み込み、同様に脚の疲労回復に役立てるというものだ。

体に大きな負担のかかるトレーニングの後、足の血行不良が原因となって疲労回復に問題が生じるアスリートもいることから、こうしたシューズの開発を目指すことにしたという。

全てが「スマート」になる日も近い?

当然のことながら、特許を出願しても、必ずしも目指す製品が認可を得て、発売に至るというわけではない。だが、アンダーアーマーが現在、どのような技術革新に取り組んでいるかが明らかになったことは確かだ。

同社の経営陣はこれまでも、快適なウェア、見た目の良いウェアであるだけでなく、アスリートのパフォーマンスの向上に直接的に役立つアパレルを開発したいというビジョンを明確に打ち出してきた。

昨年には着地時の衝撃を和らげる素材を使用したランニングシューズ「HOVR(ホバー)」を発売している。ホバーは同社のランニングアプリ「Map My Run(マップマイラン)」を使用することで、ストライドや走行ペース、走行距離などを計測・管理することができる。同社のイノベーションの多くに共通するテーマは、データの追跡と疲労回復の支援であり、Map My Runはその一環として、2013年に買収した。

シューズのほか、パジャマなども開発してきたアンダーアーマーは、今年4月にはパフォーマンスウェア「ラッシュ(Rush)」を発売した。運動中に体が発した熱エネルギーを遠赤外線に変換し、それによって疲労回復を支援する素材を使用したものだ。

こうした同社の取り組みから考えれば、トレーニングウェアは近い将来、現在とは大きく異なったものになり得るだろう。私たちが日常生活で使用しているその他のデバイスと同様に、全ての衣類が「スマート」になる日も近いかもしれない。

編集=木内涼子

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