自動運転トラックで急浮上のStarsky Robotics、「遠隔操作」で物流を革新

Starsky Robotics

自動運転トラックの商業化を目指すサンフランシスコのスタートアップ「Starsky Robotics」は、無人の18輪大型トラックで高速道路を走行する実験に世界で初めて成功した。

同社の無人トラックは、必要に応じてオペレーターが遠隔操作をすることが可能だ。実験は、6月16日にオーランドにあるフロリダ・ターンパイクを使って行われ、カメラやレーダーを搭載したボルボ製セミトレーラーが9.4マイルの道のりを走行した。

Starsky RoboticsのCEO兼共同創業者であるStefan Seltz-Axmacherによると、遠隔操作はジャクソンビルにあるStarsky Roboticsのセンターで行ったという。無人トラックは、パーキングエリアを出発し、高速道路に合流した後、車線変更を行った。平均速度は55マイル(約88.5キロメートル)だった。

「高速道路を無人車両が走行したのは、今回が始めてだ。次回は、実際に荷物を輸送する商用運転を行いたい」とSeltz-Axmacherは述べた。

アルファベット傘下のウェイモやTuSimple、Embark、Kodiak、Ikeがビジョンセンサーやソフトウェア、コンピューティング・パワーなどを駆使して完全自動運転を目指しているのに対し、Starskyは遠隔操作によって自動運転システムを補完する独自の手法を採用している。

同社によると、その方が高速道路での複雑な合流をはじめ、予期せぬ事態への対応や倉庫での積み荷などに上手く対応できるのだという。競合他社は通信の遅延を懸念し、遠隔操作を行っていない。Starskyは主に低速での走行時や、遅延が障害にならない状況で遠隔操作を行っているという。

遠隔操作を行うスタッフは、複数のモニターの前に座り、トラックに搭載したカメラが映し出す全ての映像を見ながら作業を行う。操作室には、一見ゲーム用に見える小型ハンドルのほか、アクセルとブレーキのペダルなどがあり、必要に応じていつでも運転を代わることができるようになっている。

注目高まる「自動運転トラック」

今年に入り、自動運転トラック開発や、それを手掛ける企業への投資が活発化している。その理由の一つは、自動運転車やロボットタクシーに歩行者や自転車、複雑な交差点が多い一般道を走行させるのに比べて、高速道路を走行させる方が難易度が低いことだ。

ウェイモは最近、自動運転トラックの実証実験をアリゾナ州フェニックス郊外で実施した。同社は、同じくフェニックスでロボットタクシーの商用サービスを展開している。また、TuSimpleは、米郵便公社(USPS)と組み、フェニックスからダラスまで郵便物を積んだトレーラーを走行させるパイロットプログラムを終えたばかりだ。さらに、ボルボは今月、エヌビディアと提携して自動運転トラックの開発を目指すと発表した。

Starskyが競合と大きく異なる点はもう1つある。それは、同社が人間のドライバーが運転する伝統的なトラックサービスも手掛けている点だ。同社は、トラックサービスで得た収益と、投資家から調達した2200万ドル(約24億円)を自動運転トラックの開発費に充当している。

「我々は、月間50万ドルほどの収益を上げている」とSeltz-Axmacherは述べたが、今後の資金調達計画については明らかにしなかった。現在、Starskyの従業員数は80名で、その半数はトラックの運転手だ。トラックは、自動運転と一般車両を合わせて40台を保有している。

編集=上田裕資

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